しまんちゅシネマ

映画ノート

カイロ・タイム ~異邦人~





エジプトは事実上のクーデターが起こり、不安定な状況が続いてますね。
自分はエジプトのことを何も知らないなぁということで
エジプトはカイロを舞台にしたこんな作品を観てみました。
カイロ・タイム ~異邦人~(2009)カナダ/アイルランド
原題:Cairo Time
監督:ルバ・ナッダ
出演:パトリシア・クラークソン/アレクサンダー・シディグ/エレナ・アナヤ
日本公開:秋

女性誌の編集者ジュリエットは、パレスチナガザ地区で働く国連職員の夫と待ち合わせカイロで休暇を一緒に過ごす予定だった。しかし、夫は仕事の都合がつかず到着が遅れ、ジュリエットは異国の地で孤独と不安にさいなまれる。そんな彼女にかつて夫の警備を担当していたエジプト人のタレクが案内を申し出た。ともに時間を過ごすうち、心惹かれあう二人だったが・・

パトリシア・クラークソンは脇でちょっと不思議なオーラを放つ女優さんで、かなり好き。
でも考えたら彼女の主演作品を観るのは初めてだな。



本作のパトリシア女子演じるジュリエットは、国連職員を夫に持つ女性誌の編集者。
知的で社会的にも自立した彼女ですが、カイロは外国人の女性が一人歩くのは危険すぎる街でした。
街を歩けば男性の視線にさらされ、卑しい言葉を耳元でささやかれたり・・
ジュリエットの心細さが極地に達したとき、優しいタレク(アレクサンダー・シディグ)に導かれる。
エキゾチックで幻想的な光景の中、静かに愛しい感情が芽生えてくるんですねぇ。

エジプトはイスラム教徒の国。
教の世界は女性は肌を露出せず、男性と祈りの場でさえ共有しない
それだけ女性の地位が低いわけでもあるんですね。
それに加えて、2009年製作の本作でも政府に反対する組織の動きが映画に緊迫感を与えます。
アメリカ人女性というだけで2人が殺された」という台詞
よその者にはこの国のことなど理解できないとする言葉も印象に残ります。

ピラミッドを望む美しい光景や美しい音楽、それと反する醜いバイオレンス
異国の地での一時のロマンスを見せているようで、裏にはアメリカとアラブの関係をさりげなく盛り込むなど、絶妙にコントランスを効かせた心憎い作品でした。

トロント国際映画祭で、最優秀カナダ作品賞を受賞しています。