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映画ノート

ジンジャーの朝~さよなら、わたしが愛した世界




オン・ザ・ロード』からは、時代に翻弄され葛藤する若者繋がりで
今日はサリー・ポッター監督の『ジンジャーの朝~さよなら、わたしが愛した世界』。
ジンジャーの朝~さよなら、わたしが愛した世界(2012)
イギリス/デンマーク/カナダ/クロアチア
原題:Ginger & Rosa
監督:サリー・ポッター
出演:エル・ファニング、 アリス・イングラート、 アレッサンドロ・ニヴォラクリスティナ・ヘンドリックスティモシー・スポールオリヴァー・プラット、 ジョディ・メイ、 アネット・ベニング
日本公開:2013/8/31
オン・ザ・ロード』よりも少し時代は後になるんですが、本作は冷戦時代のロンドンを舞台に、思春期の少女たちの揺れ動く心情と成長を描く作品です。

原題のGinger & Rosa は主演の二人の女の子の名前。
ジンジャーにエル・ファニング、ローザにアリス・イングラート
広島に原爆が投下された日、同じ病院で生まれ、幼い頃から一緒に過ごしてきたふたり。
その成長の過程と家族の変遷を、冒頭から台詞のない映像で一気に見せる手腕は見事。


核の脅威がささやかれる頃、17歳に成長した2人
前の英語の先生パティが中学の頃がキューバ危機の頃にあたり
いつ核戦争が起きるかと本当に怖かったと話してくれたことがあったけれど
ロンドンに暮らす子供たちも同じように恐怖を感じていたんですね。




ジンジャーは世界を終わらせたくないという思いから、反核運動に参加するようになり
一方、ジンジャーの父(アレッサンドロ・ニヴォラ)に心魅かれ始めたローザは化粧を施し始める。
それまで髪型もファッションも、何をするにも同じだったジンジャーとローザの間に
「違い」が生まれ、それは溝となる。
映画は主にジンジャーの視点で思春期の揺れる心を描き挙げます。

ジンジャーを演じるエル・ファニングのくったくのない笑顔の可愛らしいこと。
しかし、ローザのこと、核の脅威、両親のことなど、いろんな不安が一気に押し寄せ
やがてジンジャーの顔から笑顔が消えてしまう。
でも、ジンジャーがある徹夜明けの朝を迎えるとき、彼女が少し大人になってる気がした。
挫折を味わい、過ちを許し、痛みを分かち合う
成長するってそういうことだよなぁと思う。

ジンジャーの表情に多くを語らせる演出も、エルちゃんのうまさゆえに有効。
思春期の成長を世界情勢の波とともに描く繊細なドラマでした。

ローザ役のアリス・イングラートは『ピアノレッスン』の女性監督ジェーン・カンピオンの娘だそうな。
アネット・ベニングティモシー・スポールなどが手堅く脇を固めます。
ジンジャーのママ役のクリスティナ・ヘンドリックスの爆乳には驚いた。