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映画ノート

セインツ -約束の果て-




今日はケイシー・アフレックルーニー・マーラ主演の『セインツ-約束の果て-
この二人の共演と言うだけで興味を持ったのだけど、これ良かった!
セインツ-約束の果て-(2013)アメリ
原題:Ain't Them Bodies Saints
監督:デイヴィッド・ロウリー
出演:ケイシー・アフレックルーニー・マーラベン・フォスターキース・キャラダイン
日本公開:未定



アウトローのボブ(ケイシー・アフレック)が脱獄した。愛する恋人ルース(ルーニー・マーラ)と、まだ見ぬ我が子に会うために。しかしボブを待ち受けるのは・・。

一人の男の脱獄劇をスリリングに、かつ詩情豊かに描く作品です。

監督はこれが長編デビューというデイヴィッド・ロウリー
テキサスの大自然を背景にした美しい映像と音楽の使い方、ゆったりと詩情豊かなストーリーテリングテレンス・マリック作品を連想させますが、多分それは70年代の映画にオマージュを捧げる監督の意図的な表現なのでしょう。
 
 まず、いいなと思うのは、あまり説明的でないところ。
ボブはそもそもどんな犯罪に関与したのか、はたまた組織に属するのかなど、詳しいことは語られず、流れの中で見えてくるのもから想像するしかないのだけど、それが後半のスリルに拍車をかけていると思います。
緊張感を生む演出が素晴らしい。
無駄を省いた語り口から浮かび上がるのは登場人物たちの思い。
ボブとルースだけでなく、ルースに向けた保安官役のベン・フォスターの想いや、ルースの娘への母性も絡んで、それぞれの切実な愛が交錯するのですよ。

 共演はほかにキース・キャラダインでこれが渋い。
キースを含めた4人のアンサンブル演技がとにかく素晴らしく、キャスティングだけで映画の80%は成功していると思うほど。

 日本公開の予定はないようだけど、この監督は名前を覚えておいて損はないはず。
インタビューでは、修正が許されるなら100万箇所作り直したいと言っているけれど、それだけの引き出しがあるということにもなりますよね。
サンダンスで撮影賞を受賞。
アーティスティックで緊張感に溢れ、ロマンティックで美しい作品でした。