しまんちゅシネマ

映画ノート

【映画】『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』映像に驚き!



バードマン あるいは無知がもたらす予期せぬ奇跡 (2014)アメリ
原題:Birdman or (The Unexpected Virtue of Ignorance)
監督:アレハンドロ・G・イニャリトゥ
出演:マイケル・キートン/ ザック・ガリフィナーキス/ エドワード・ノートンアンドレア・ライズブローエイミー・ライアンエマ・ストーンナオミ・ワッツ
日本公開:2015春

『21グラム』『バベル』のアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督の新作。
かつてコミックヒーロー『バードマン』を演じ一世を風靡するも、いまや落ち目の役者が、現実と幻想のはざまで追い込まれながら舞台に再起をかける姿を描きます。



元『バードマン』俳優リーガンを演じるのは『バットマン』俳優のマイケル・キートン
キートンさんの本作の演技が絶賛されていて、まさに主人公を体現する形になるんですが
そもそもこ映画が作られたのは、監督自身の「今の自分」に対する焦燥感が根底にあった様子。
そういえば『21グラム』ほどに賞賛される映画は撮ってなかったか。
冒頭登場するくらげはまさに実態のない自分を表現しているんでしょう。
本作は監督自身の再起をかけたチャレンジといえるんでしょうね。




ほんと、凄いものを観せていただきました。
まず言われているのは全編にわたりほぼワンテイクに見える脅威の長まわしね。
実際には切れてるんでしょうけどそう見えない。
ただの会話劇ならわかるけど、本作にはスーパーナチュラルな現象やアッと驚くファンタジーまで盛り込まれてますから。いったいどうやって撮ったんだ。
と思って調べたら撮影は『ゼロ・グラビティ』でオスカーを獲ったエマニュエル・ベルツキ
やりますなぁ。

勿論素晴らしいのは映像だけではなく、オスカーの筆頭に挙げられるキートンの演技は本物です。
リーガンは役者として、父親として、夫としても見放され自分自身の存在感を無くしつつある男。
それでも過去の栄光を引きずる彼は頭の中でバードマンの声を聞く。
彼の焦燥感をスーパーナチュラルな絵でみせるため、ともすれば奇をてらった作品と見られそうだけど
未来を模索する崖っぷち男が文字通り風穴を開ける地道なドラマでもあります。

多分風穴を開けたのは監督自身でもあるんでしょう。
共演者もみんな演技者ぞろいでグッジョブ。
中でも普段ふざけた役の多い ザック・ガリフィナーキスがとっても良かったのはサプライズでした。


妄想?現実?
きっとそんなのどうでもいい。
最初は不安を煽っていたBGM代わりのドラムの音にも次第に力が沸き
その気になれば私たちは何だってできるんだよ! そんなメッセージが聞こえる作品です。