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映画ノート

【映画】『スノーピアサー』

PCのOSを変えたら今までできてたことができなくなって、あれこれ設定を確認したり色々大変。
てなわけで更新怠りがちですが、今日はティルダ・スウィントンの演技が話題の『スノーピアサー』を




スノーピアサー(2013)韓国/フランス/アメリ
原題:Snowpiercer
監督:ポン・ジュノ
出演:クリス・エヴァンスソン・ガンホティルダ・スウィントンジェイミー・ベルオクタヴィア・スペンサーユエン・ブレムナー/ アリソン・ピル

2014年、温暖化を食い止めるはずが冷やしすぎて、地球は氷河期に突入!
人類の殆どが死に、生き残った人間は「スノーピアサー」というノンストップで走り続ける列車の中で暮らしている。



雪に覆われた極寒の地球で、生き残った人類がノアの方舟のような列車で暮らしている・・
と聞くとゆったりしたロードムービーのように思うのだけど、列車の中は完全なる格差社会で、貧しい者たちは列車の最後列で悲惨な暮らしを強いられてる。
やがて彼らから反乱ののろしが上がり、カーティス(クリス・エヴァンス)がリーダーとして貧しいものを率いることになるという話。

ノアの方舟、列車バージョンなこんな映画を作ってしまったのは、韓国の鬼才ポン・ジュノ
最近はハリウッドにも進出してるんですな。
本作はソン・ガンホも大事な役どころで登場し、豪華俳優競演の多国籍SF大作となっています。
氷河期の地球でノンストップでどうやって燃料を賄うのかとか、気になるところばかりですが、どう考えても無理やりな設定を広い心で受け止めれば、意外にまじめな社会派の映画だと思います。

カーティスを演じるのはキャプテン・アメリカことクリス・エヴァンス
画面も暗けりゃエヴァンスも暗い。しかしそれにはわけがあって、彼は何年も重い十字架を背負ってきた男。
彼にまつわるヒューマンドラマには衝撃とやるせなさがありましたが、ラストに向け彼がトラウマに対峙するシーンにはちょっと感動。生きるか死ぬかの極限状況において人間性を維持することは難しいけれど、カーティスが最後に到達したあるべき姿に心を動かされるんですよね。

最前列を目指すまではグロさもありのアクション活劇。
暗く陰湿な最後列から徐々に世界観が変わっていくのが面白い。
途中水族館みたいな車列ではお寿司が振舞われましたが、種を保存するため捕獲制限をしているとのプロットは日本へのあてつけかいな。
子供たちへの教育シーンはヒトラーの時代に戻ったようで末恐ろしい。



まぁ、しかし全てのシーンを凌駕してしまうのがメイソン総理ティルダ・スィントンの怪演だったわね。
特殊メイクで訛のある英語を繰り出すそのおばはんキャラに、いつものティルダの姿はどこにもない。
声量にも驚くところだけど、とにかく強烈過ぎて笑った笑った。
メイクの力もあるにせよ、この独特の世界観を生み出しているのは勿論ティルダの演技力のたまもの。
凄い女優さんですよ。これを見れただけで満足でしたもん。

映画としては社会派なところとカーティスのドラマに深く感じ入るかによって好みは分かれそうですね。
助援女優賞候補のティルダが前哨戦を好戦してるのはさもありなんとして、ボストン・オンライン映画批評家協会賞で作品賞を獲っていたのは個人的には意外でした。