しまんちゅシネマ

映画ノート

【映画】『博士と彼女のセオリー』



博士と彼女のセオリー (2014)イギリス
原題:The Theory of Everything
監督: ジェームズ・マーシュ
出演:エディ・レッドメインフェリシティ・ジョーンズ/チャーリー・コックス/エミリー・ワトソン
日本公開: 2015/3
物理学の天才として将来を期待される青年スティーブン・ホーキングは、ケンブリッジ大学在学中、詩を学ぶ女性ジェーンと出会い恋に落ちる。しかし、直後にALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症。余命2年の宣告を受けてしまう。



特異点定理などで知られる天才科学者スティーヴン・ホーキング博士が車椅子に乗り、コンピューターによる言語で会話する方だというのは知ってましたが、ALSを学生時代に発症されていることや、家族のことなど何も知りませんでした。
本作はジェーンとの出会いの頃から始まる博士の半生を描くドラマです。

ホーキング博士はALSと闘いながら現代宇宙論に多大な影響を与える研究をしてこられた方ということですが、映画の中では理論を生むきっかけのようなものや、世界に認められる過程は描かれるものの、博士の研究への情熱などはあまり描かれないため、それを期待すると少し残念ということになるのかも。本作はどちらかと言うとタイトルにあるように彼女(ジェーン)との関係にフォーカスした作品になっていまして、個人的にはかなりツボ。今年一番のお気に入りになりました。




ただね、安易なラブストーリーではありませんで、日本の映画サイトで紹介されているように「妻ジェーンとの純愛」や「博士を支え続けた妻」を期待するとそれもちょっと違う。
事実なので言ってもいいかと思いますが、ジェーンとは離婚してますからね。

勿論二人が愛し合い、博士を一番理解するジェーンがいて博士の今があるのは確か。
それでも離婚に至ることになる二人の葛藤に大きく心を動かされました。
映画を観る前に映画サイトの紹介で試写をご覧になったホーキング博士が涙を流したとのエピソードを聞いていたので、一層博士の気持ちに共感したんですよね。
開放することも愛なんだと。



前哨戦の多くで主演男優賞にノミネートされているエディ・レッドメインの演技のすばらしいこと。
私もALSを罹患された方を何人か見てきてますが、の表情で筋力の低下を表現したり、発声しかりレッドメインは症状を緻密に観察し演じているのが良くわかります。障害が進行していく過程の各ステージの症状を緻密に演じているっことにも感心。さらに凄いのはその限られた動きや変顔(失礼!)の中で抑えた感情やユーモアをきちんと表現していること。これは簡単ではないでしょ。しかも確実に心を打ってくるのだから、もう脱帽するしかない。ジェーン役のフェリシティ・ジョーンズもしっかりした演技でいくつかの映画賞でノミネートを果たしてますね。
監督は『マン・オン・ワイヤー』でアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞をゲットしたジェームズ・マーシュ

ヨハン・ヨハンソンによる美しい音楽、花火のシーンなどの映像の美しさもあいまって
心に残る作品になりました。
サントラもいいですよ。


偶然にもレッドメイン結婚のニュースが入ってきましたね。
今日の1曲は作曲賞にもノミネートされている主題歌にしようかと思ったんですが
結婚式で使われたというこちらにしました。
ご結婚おめでとうございます!!

『Winter Wonderland』