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映画ノート

【映画】ババドック ~暗闇の魔物~


ババドック ~暗闇の魔物~(2014)オーストラリア、カナダ
原題:The Babadook
監督:ジェニファー・ケント
日本未公開

作品情報

あらすじ
シングルマザーのアメリアはモンスターのような息子の問題行動に悩まされている。ある日、書棚にあった「ババドゥック」の絵本を開いた日から、母子は家に潜む邪悪な空気に怯えることになり・・
トレーラー

感想

シングルマザーと6才の息子に襲いかかる恐怖を描く、オーストラリア産のホラーです。

主人公のアメリアは6年前に夫を事故で亡くし、息子のサミュエルと二人暮らし。
実は夫は産気づいた妻を病院に連れて行く途中で事故に遭っていて、アメリアはサミュエルの誕生日をどうしても祝えない。サミュエルは問題行動の目立つちょっと変わった子に育ち、時には想像のモンスターに怯えたりする。サミュエルが過激な行動で学校を辞めざるを得なくなってからは、アメリアはますます神経を消耗させていきます。



いつの間にか本棚にあった「ババドゥック」の本
それがどこからやってきたのか、はたまたババドゥックとはなんなのか何の説明もない。
しかも、前半はババドゥックを登場させることもないままに、母と息子の不安定な日常を描くんですが、次第に魔物が家を支配していくという演出にゾワゾワ。
イマジネーションと現実がいつしか交錯し、殆ど眠れなくなってしまったアメリアの精神状態が怪しくなってからは、ババドゥック以上に母親が怖いというね。

母と息子の信頼関係を繊細に描いているところはやはり女性ならでは。

愛情をもって接しなければ子供なんてミニモンスターみたいなもの
なんで「ミニ」かというと、この映画のサミュエルがそうであるように、6歳という年齢は母親を愛し愛されたい年頃なんですよね。
おそらくはサミュエルの心に住み着いた寂しさが形になったものがババドゥックなんでしょう。
しかしこれを放置すればミニはやがて本物のモンスターになっていく。
そして恐怖は感染し、ババドゥックは誰の心にも住み着いてしまうところが恐ろしい。

子供の心に寄り添い、理解し、愛してあげることが大事。
『シャイニング』を髣髴とさせる壮絶なバトルのあとに、シンプルなメッセージが伝わりました。

それにしても・・母親を演じたエシー・デイビスの演技は凄かった!
彼女は米タイム誌が選ぶ2014年俳優による演技トップ10 の8位に選ばれてますね。



サミュエルを演じた子役ちゃんも上手かった。
でも怖いママに叱られて、本気でビクついてましたが。。トラウマになってなければいいな。

映像、音や声音による恐怖演出も秀逸でトマトメーター98%と高評価。
怖面白いホラーに仕上がってました。
女優出身というジェニファー・ケント監督にも注目です。

日本公開はいつかな?