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映画ノート

追悼:ウェス・クレイヴン監督『インキュバス・死霊の祝福』

『スクリーム』『エルム街の悪夢』のウェス・クレイヴン監督がお亡くなりになりました。得体の知れない何かに不条理に追いかけらる作品でホラーファンを恐怖に落とし込むことに長けた監督さんだったように思います。
今日は追悼に監督の初期の作品から、未見だった『インキュバス・死霊の祝福』観たので紹介します。



インキュバス・死霊の祝福(1981)アメリ
原題:Deadly Blessing
脚本:グレン・M・べネスト/マシュー・バー/ウェス・クレイヴン
出演:マレン・ジェンセン、スーザン・バックナー、シャロン・ストーンアーネスト・ボーグナイン

宗教上の厳格な戒律のもと、アーミッシュ風の人々が暮らすとある農村で死亡事件が起きる。新婚の夫ジムが、納屋で突然動き出したトラクターに挟まれ死んだのだ。
その後も村の男が首をつった状態で死んでいるのが発見され、警察が動くが、村の神父(アーネスト・ボーグナイン)は「インキュバスの仕業であり、我々村の問題」と警察の捜査を拒否するのだった。

インキュバスというのは、どうやらこの村人たちが信仰する宗教上の魔物のようなんですね。
村人たちは戒律を守らなければインキュバスに罰を与えられると信じている。
しかし村はインキュバスの怒りに触れたようで、不穏な事件が立て続けに起きるのです。

主人公はラブラブなHのあとに、愛する夫ジムに先立たれた新妻マーサ(マレン・ジェンセン)。
都会から村に嫁いだマーサは、夫を亡くした悲しみの中、何者かに命を狙われる恐怖を味わい、私たち観客もマーサ同様、わけのわからないまま理不尽な事件を見守ることになります。

絵を描く少女の周りに知恵遅れ風の醜い大男が現れ、逃げ惑う少女を執拗に追う冒頭のシークェンスから『スクリーム』を髣髴させて嬉しい。

『エルム街~』を思わせるバスタブ美女開脚描写もあり、これがどうやったらこの恐怖撮影に応じることが出来るのかと驚くほどに強烈。
その後も多様な恐怖の見せ方が素晴らしく、ドキドキしながらもウェス風のホラー描写を楽しむことが出来ます。

しかしこの映画、少し複雑なのが、インキュバスというものの実態が分からないことに加え、インキュバスの怒りを買ったと思われる事象に関する説明があまりないことなんですね。
終盤になって、あぁそういうことかぁと気づくことになるんですが、序盤にはられた伏線を全て理解するには私などは複数回の鑑賞が必要な感じなのですよ。

なので、もしこれからご覧になることがあるのなら、リサ・ハートマン母子の会話に耳を澄ませてください。「女の子」を強調する意味の奥にインキュバスの怒りを買うある秘密が隠されてます。

終盤はそのネタをビジュアルでも明かしていくものの、残念なことに画面が暗くて(今回はアマゾンのストリーミングで鑑賞)肝心なネタバレが見えにくかった。


村人に厳しい戒律を課す神父であるボーグナインは、『魔鬼雨』を髣髴とさせ、こいつが悪の根源ではと思わせるのがミソ。


傷心のヒロインを慰めに都会からやってくる友人の一人にシャロン・ストーン
憑依されビッチになるけれどw美しさが際立ってます。

個人的にはラストシーンはストリーを破綻させるだけな気がするんですけど
どうなんだろ。
そんなところや分かりにくさで、あまり高い評判を得てないようだけど
ヒロインのフルヌードあり、ホラーの面白さもてんこ盛り見所、監督らしさ満載。
追悼に選んでよかったと思える作品でしたよ。
日本ではビデオのみしか出てないのが残念。DVD化を希望します。

ウェス監督のご冥福をお祈りします。