【映画】戦場からのラブレター
戦場からのラブレター(2015) イギリス
原題:Testament of youth
監督:ジェームズ・ケント
脚本:ジュリエット・トウィディ
出演:アリシア・ヴィキャンデル/ キット・ハリントン/タロン・エガートン/コリン・モーガン
【感想】
第1次世界大戦の最中、看護師として戦場で闘ったヴェラ・ブリテンの自伝小説を映画化した戦争ドラマです。
英国男優総選挙の投票も9月いっぱいで終わり、後は静かに結果を待つのみ。
Twitterのハッシュタグを検索すると「○○に投票しました」というポストを多く見かけます。
今年は『キングスマン』人気でコリン・ファース、タロン・エガートンの票が伸びてる印象。
特にタロン君は確実に順位をあげてきそうですね。
まだ出演作が少ないタロン君なので選ぶ余地がなかったですが、これは観て正解。
主演のアリシア・ヴィキャンデルはじめ、若手がたいそう頑張ってました。
アリシアちゃん演じるヴェラはイギリスの中流階級に生まれ、兄のエドワードとその親友のヴィクター、友人のローランドらと穏やかに青春を謳歌しています。
ところが第一次世界大戦が勃発し、エドワードらは戦場に。
オックスフォード大学に入学したヴェラも何かせずにおれず、救急看護奉仕隊に志願するのです。
ヴェラを取り巻く人間関係を説明する前半は、何が言いたい映画なのかよくわからず正直退屈。
ところがヴェラがナースとして戦地に赴いてから、ガラリと様相が変わり面白くなります。
前戦のドンパチを見せることなく、救護室の惨状で残酷な戦争の実態を表現する手法は増村保造の『赤い天使』を思い出します。人手が足りず、自分で兵士の腕を切断したと武勇伝のように話し、瀕死の患者を前に「この人もうすぐ死ぬから気をつけて見ててね。」と平気で口にする先輩ナース。
ヴェラが配属されたのはドイツ兵を収容する施設だったにも関わらず、ヴェラが死にゆく兵士の手を握り安心を与える姿に心を動かされます。
死にゆく者に敵も味方もない。あるのは戦争の愚かさのみ。
死の恐怖と向き合いながら懸命に戦う兵士に対し、本国で終戦を待つ市民の利己的なこと。
戦地の悲惨な状況を知りつくし、愛する者を失った原作者の思いがそのままヴェラの憤りとなって表現される。
アリシアちゃんはこれでオスカーとってもおかしくないほどの熱演で、綺麗なだけの女優じゃないことを改めて思い知らされます。
タロン君もよかった。
英国男優でもう一人斬りたいのがヴェラの婚約者を演じるキット・ハリントン。
未見ですが米ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』に出演し人気だとか。
フラットな前半には少し我慢を要しますが、リアルな反戦映画であると同時にみずみずしい青春映画でもある本作、可憐でいて力強いアリシアちゃんの演技もあって観て損のない秀作でした。
アリシアちゃんのファッションもかわいい💛