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映画ノート

【追悼】ビル・パクストン『バーグラント』

昨日は朝からビル・パクストンの訃報に心を痛め、夜にはアカデミー授賞式の前代未聞の作品賞取り違えに脱力した、記憶に残る一日になってしまいました。

アカデミーのことは後で触れるとして、今日はパクストンの追悼です。

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バーグラント(1992)アメリ
原題:The Vagrant
監督: クリス・ウェイラス
脚本: リチャード・ジェフリーズ
出演:ビル・パクストン/マーシャル・ベル/マイケル・アイアンサイド

【あらすじ】
小市民のグラハムは住宅街に中古の家を買うが、家に出没する謎の浮浪者に翻弄されることになり・・

【感想】
マイホームを手にした主人公が巻き込まれるドタバタを、コミカルかつサスペンスフルなミステリーコメディに仕上げた日本未公開の一本です。
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主人公のグラハムを演じるのは勿論ビル・パクストン
買ったばかりの家に汚いホームレスが裏口から勝手に出入りしていたらそりゃビックリするでしょ。
鍵を替え、塀を巡らせてもなぜか家に入ってくるその男に危険を感じるグラハム。しかし、警察にも取り合ってもらえないばかりか妄想クレイマーと疎まれ、グラハムは自分が正気なのかさえ分からなくなる始末。
そんなとき、ついに殺人事件が発生し・・
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ホームレスがこんな風貌だったりで、いかにもB級テイストですが、製作がメル・ブルックスとあって、ブラックユーモアとミステリーが程よくミックス。ホームレスの意外な秘密を明かし、いかにも90年代な結末を迎える展開も飽きさせません。

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グラハムがマイホームを購入したのは、ガールフレンドとの結婚を夢見、人生の転機としたかったから。なけなしのお金をはたき目いっぱいのセキュリティを設備した彼は浮浪者ごときのために簡単に家を手放せない。しかもガールフレンドは君には全然に合わないだろうと思うような女狐なのもやるせなかったりで、そんな崖っぷち男の悲哀を、出ずっぱりで誠実に演じるパクストンが愛しいのです。

画質は悪いですがトレイラー貼っておきます。





昨日はアカデミー賞があれで、パクストンの訃報が宙に浮いてしまったけれど
一通り落ち着いたらパクストンを悼むコメントも溢れてくるはず。

心臓手術の合併症が死因とされてますが、数週間前までドラマの撮影をしていたようだし、本人も家族もこんなことになるとは思ってなかっただろうな。
ハリウッド大作にもたくさん出演してるけれど、もはやカルト作品の部類に入るのではないかと思われる監督作品の『フレイルティ/妄執』も好きでした。もっと監督作品も撮って欲しかった。

61歳なんてあまりにも若すぎる。
ビル・パクストン 安らかに。



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