しまんちゅシネマ

映画ノート

スノーマン 雪闇の殺人鬼



スノーマン 雪闇の殺人鬼
The Snowman
 
オスロ。刑事ホール(マイケル・ファスベンダー)の元に差出人不明の手紙が届く。続いて猟奇的な続殺人事件が連続して発生。
被害者のそばにはホールに届いた手紙に描かれていたのと同じ雪だるまが残されていた。
新任の女性刑事ブラット(レベッカ・ファーガソン)は独自に調べた他の事件との関連を主張する。
被害者はみな夫との関係に問題のある子持ちの女性で、事件は全て雪の日に起きていた・・・。
 
『ぼくのエリ 200歳の少女』『裏切りのサーカス』のトーマス・アルフレッドソンが監督しマイケル・ファスベンダーが主役を務める殺人ミステリーです。
オープニングは人里離れた雪原に暮らす母子の元に、生活物資を携えた男が訪ねるシークエンス
これがなかなか衝撃的で、俄然期待が高まります。
 
タイトルロール後に次々に起きる猟奇殺人もアルフレッドソン監督らしいグロ美しい絵面で目を楽しませてくれるんですが、現場には足跡なんかも残されてるのに、現場検証をする様子もなく、さて、これは刑事ものとしてどういった楽しみ方をすればいいのかな と 久々の映画鑑賞だった私はちと戸惑ってしまったんですよね。
 
舞台がノルウエーということで、聞き慣れない名前のオンパレードに置いていかれたこともあって、続けて再見。
二度観て気づくことも多く、結果面白く観ました。
 
犯人は誰かというのを最後まで見せないタイプのミステリーなので、主要キャストの過去は曖昧にするしかなく
すると心情がつかめず共感を呼びにくくなる。
そこをうまく埋めるのが脚本であり役者の演技なんでしょうけど、本作の場合は監督自身がオスロでの撮影時間が足りず
脚本の10~15%は映像にできなかったと言ってるように、やや説明不足の感が否めません。
それでも終盤にきて犯人の過去と抱えてきた心情を、質問のやり取りなどで解き明かしていく展開はうまいし、役者の演技も良かった。
 
ホールが運転免許を持っていない(でも運転はバリバリ)ことなど、疑問に残るところはあるけれど、想像して空間を埋めていける映画の方が面白味があるというもの。
最後は罪深い息子を母が包み込むような感覚もあって、オーソドックスな締めながらも妙に納得しました。
世間では低評価だけど、そんなにひどいと思わなかったな。

映画データ
製作年:2017年
製作国:イギリス
監督:トーマス・アルフレッドソン
脚本:ホセイン・アミニ/マシュー・マイケルカーナハン
出演:マイケル・ファスベンダー
    レベッカ・ファーガソン
    シャルロット・ゲンズブール
    ヨーナス・カールソン
    クロエ・セヴィニー
    バル・キルマー  
    J・K・シモンズ