しまんちゅシネマ

映画ノート

真夜中のカーボーイ


1969年(米)監督:ジョン・シュレシンジャー出演:ジョン・ヴォイトダスティン・ホフマン/シルヴィア・マイルズ/ジョン・マッギーヴァーブレンダ・ヴァッカロ/ボブ・バラバン/バーナード・ヒューズ/ルース・ホワイト/ジェニファー・ソルト【ストーリー】金持ち女の相手をして金を稼ごうと、テキサスの片田舎からニューヨークへやって来たジョー。だが現実の壁は厳しく、カウボーイを気取る彼の夢は遠のいていくばかり。そんなジョーが知り合ったのがラッツォと呼ばれる一人の男。始終咳き込み足を引きずって歩くその小男と、ジョー。大都会のはみだし者同士、次第に友情を深めていく二人だが、ラッツォの病状は日増しに悪くなっていた。ジョーは、フロリダへ行くというラッツォの夢を叶えようとするのだが……。
■感想
あーー、なんという懐かしい曲!!  それが心の第一声。

有名な作品なのに、これ初めて観たんですよ。でもバックに流れるこの曲「Everybody's Talking」には聞き覚えがありました。
CMに使われてたのかな?記憶は定かではないけれど、ノスタルジー溢れる優しい曲。
Harry Nilsson Everybody's Talking

テキサスの田舎町からニューヨークで一旗揚げようとやって来たジョー(ジョン・ヴォイト)。
多くは説明されませんが、彼のモノクロのフラッシュシーンから、故郷での辛い過去が浮き上がります。
テキサスに居場所を求められず、新天地として選んだニューヨーク。でも都会のくらしがそんなに甘いはずもなく…。
お上りさんよろしく「自由の女神はどこにあるの?」なんて聞いてみても、ニューヨーカーたちは「なにそれ?」的な反応(笑)カウボーイ姿のジョーは、ニューヨークではとっても浮いた存在なんですよね。


持ち金もなくなったジョーが、ある日酒場で知り合ったラッツォ(ダスティン・ホフマン)の元に身を寄せることになり、はみ出しものの二人の生活が始まります。これは新天地を求める若者の、挫折と友情を描いた作品です

これ、どうしてもっと早くに観なかったんだろうというくらい、良かったです!

印象的なシーンもたくさんありました。
男娼を目指すジョーをサポートすべく、ラッツォが汚れたジョーのシャツを他人のランドリーに紛れ込ませて
一緒に洗濯したり、靴磨きに扮しジョーのブーツを磨いたりするところも好きなシーンのひとつ。


頭はいいのに、足が悪く、片足を引きずりながら、始終咳き込んでいるラッツォは都会のはみだしもの。
輝く笑顔のジョーは、ラッツォにとっては、夢の中の自分の理想の姿なんですよね。
ダスティン・ホフマンが、ジョニーに向ける憧れと優しさに満ちた眼差し。上手いです。

互いを思いやりながらも、日々の暮らしは厳しく、待ち受けているものは挫折。

この作品はアカデミーで作品賞を受賞してますが、特記すべきはジョーを演じたジョン・ヴォイト
ラッツォを演じたダスティン・ホフマンの両方が主演男優賞にノミネートされていること。
タイトルからするとカウボーイであるジョン・ヴォイトが主演のようですが、ダスティン・ホフマンの存在感も凄い。
どちらも主演の演技なんですね~。アカデミーもオツなことしますね。

ラストは決してハッピーエンドではありません。必死で新天地を目指す二人のしばしの幸福な姿が切ないです。
ずっとカウボーイ姿だったジョーが、その衣装を脱ぎ捨てるとき…。
輝く陽射しの新天地を目前に、ひとつ、夢を終えることになる二人の姿に涙があふれます。


お薦めです。…って、みんなもう観てる?(笑)


★★★★*