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映画ノート

大人は判ってくれない


1959年(フランス)監督・脚本:フランソワ・トリュフォー出演:ジャン=ピエール・レオクレール・モーリエアルベール・レミージャン=クロード・ブリアリギイ・ドゥコンブル【ストーリー】アントワーヌ・ドワネルはパリの下町に住む13歳の少年。学校ではいつもいたずらばかりして先生に目をつけられている。共稼ぎの両親は、夫婦仲が余りよくなく何かと口論ばかりしていた。そんなある日、遊び金に困った彼は父の会社のタイプライターを盗んで質に入れようとしたが、すぐにバレてしまい、両親は彼を少年鑑別所に入れてしまう……。
■感想

「観るべきシリーズ」第4弾! 「大人は判ってくれない」


フランソワ・トリュフォーの長編第一作目。ヌーヴェル・ヴァーグの記念碑的作品だそうです。

なんともやるせない作品でした。

ドワネルは13歳の男の子。
両親は仲が悪く、家ではいつも言い争いが絶えない。

ドワネルが何をやっても気に入らず、大きな声で叱ってしまう母親。
お父さんだって、実はドワネルのことなど、どうでもいい。

そんな毎日で、集中力を欠いてしまうドワネル。無理もない。

これはトリュフォーの半自伝的な作品だそうです。

親から愛情を受けられなかった少年が、だんだんと、思わぬ方向に身を落としていく。
決して悪い子ではないのに、全て空回り。

モノクロの映像にぽっかりと浮かぶような、少年の孤独感と阻害感が切なかった。

少年を取り巻く大人たちはあまりにも理不尽で
大人が子どもをダメにするとは、こういうことだよなぁって、辛くなります。

ラストの少年の孤独な逃走は切なく、胸を締め付けられるものの、
海を見つめる彼の目には、まだ底力があると信じたい。

思春期の自分を思いだすような、キュンとしちゃう作品でした。



★★★★☆