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映画ノート

毛皮のエロス/ダイアン・アーバス 幻想のポートレイト


2006年(米)監督:スティーヴン・シャインバーグ原作:パトリシア・ボズワース『炎のごとく 写真家ダイアン・アーバス』(文藝春秋刊)出演:ニコール・キッドマン/ロバート・ダウニー・Jr/タイ・バーレル/ハリス・ユーリンジェーン・アレクサンダー/エミー・クラーク/ジュヌヴィエーヴ・マッカーシー【ストーリー】1958年、ニューヨーク。36歳のダイアン・アーバスは、夫である写真家アランのアシスタントとして、またかわいい2人の娘の母として何不自由ない生活を送りながら、言いようのない違和感を拭えずにいた。そんなある日、夏だというのにコートで全身を覆い、顔すらも目出し帽のようなマスクで隠した謎めいた男ライオネルが、彼女の隣に越してくる。その異形の姿に不思議な興味をかき立てられたダイアンは、カメラを手に彼の部屋のベルを鳴らす。やがてライオネルの秘密に触れたダイアンは、彼に激しく惹きつけられて行くのだったが…。

黒く塗りつぶせ!ロンドン・タイム誌100選

■感想
さっそく塗りつぶしたいのがこれ!

伝説の写真家ダイアン・アーバスニコール・キッドマン、共演にロバート・ダウニー・Jrということで
気になっていた作品です。

ダイアン・アーバスについてはよく知りませんでしたが、フリークスの写真で有名な女性写真家だったんですね。
有名なのがこの双子の女の子の写真でしょうか。



写真家の夫のアシスタント兼、二人の女の子の母親でもあったダイアン・アーバスニコール・キッドマン)は、
ある時から、自分の存在価値に疑問を持ち始めます。
そんな折、隣に上階に越して来た不思議な格好のライオネル(ロバート・ダウニー・Jr)に激しく惹かれ、
次第に、彼の世界に魅力を感じるようになるのです。

この作品、アーバスを一主婦と捉えてしまったら、とても共感出来ない作品になってしまうでしょう。
子供も夫もそっちのけで、ライオネルとともに、いわゆるフリークスと言われるような人々と過ごすことに
大きな歓びを感じていくのですから。

それが彼女の美意識、芸術性にピッタリ嵌ったのでしょうね。美しいと思う対象は人それぞれ。


ライオネル役のロバート・ダウニー・Jrは後半まではほぼお顔を判別出来ない出で立ちです。
ライオネル‥ってか、ライオン丸?^^;
フリークとして悲しい運命を受け入れ生きるライオネルもまた、アーバスと同じ美意識をもつ男だったのでしょう。


ニコールはとにかく美しい。ダウニーさんとの官能的なシーンもあります。
普通だったら官能からはかけ離れた場面のはずなのにね。
夫が妻の才能に気付くシーンも印象的でした。

サマンサ・モートンがそもそもこのアーバス役にキャストされていたようです。
実現していたら、もっと陰湿な感じの作品に仕上っていたかも。



★★★*☆