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映画ノート

題名のない子守唄


本年度のヴェネチア映画祭の女優賞を受賞したのはロシア出身のクセニア・ラパポルト(『LA DOPPIA ORA』)。
ニュー・シネマ・パラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレ監督が2006年に発表した『題名のない子守唄』でも主演していました。
今日はこちらの作品を。


2006年(イタリア)監督:ジュゼッペ・トルナトーレ出演:クセニア・ラパポルト/ミケーレ・プラチド/クラウディア・ジェリーニ/ピエラ・デッリ・エスポスティ   アレッサンドロ・ヘイベル/クララ・ドッセーナ/アンヘラ・モリーナ/マルゲリータ・ブイ【ストーリー】北イタリアのトリエステ。この街にやって来た一人の女性、イレーナ。ウクライナ出身という彼女の過去も、ここへやって来た理由も、誰一人知らない。やがて、彼女はある家族に近づいていく。それは、貴金属商を営むアダケル家。そして偶然を装い、アダケル家のメイドになることに成功、夫婦の一人娘テアの子守役も兼ね、次第に家族の信頼を獲得していくが…。

ヴェネチア映画祭特集6本目 女優賞受賞クセニア・ラパポルト

■感想
クセニアが演じるのは、ウクライナ出身のイレーナ。
イタリアの街のアパートの一室を借り、向かいのマンションに住む宝石デザイナーの夫婦の家政婦として働き始めます。
その家の一人娘テオの子守りも兼ね次第に信頼を得ていくのですが、その行動は謎だらけ。
家人の目を盗み、何かを捜し始めるイレーナ。
たびたび主人公を襲う悲惨なフラッシュバック映像で徐々にその過去を見せながら
彼女がその親子に近づいた理由を明かしていくという展開。

まずサスペンスフルな作りには惹き込まれます。
主人公の過去が徐々に見えてきて、彼女が何を求めているのかも分るのだけど
私には未解決の謎が残ってしまい、ちょっと分りにくい部分がありました。
思わせぶりな鉢、家政婦先の旦那さま、死体、、
うーん、分ってないのは私だけでしょうか。もうちょっと説明があっても良かったかも。

主演のクセニア・ラパポルトは長身で美しく、演技力の確かさを感じますね。
過去の映像の中のプラチナブロンドの姿と、現在の質素な主人公はまるで別人。

悲惨な過去から抜け出すために強くならざるを得なかった主人公が
その生き方を子供にも教えようとするところは悲しくもあります。

社会的な問題を背景にした悲しいお話しでした。
ラストにちょっと温かい余韻を残すのが救いでしたが、、ちょっと無理矢理な気もしたかな。

『ニュー・シネマ~』とは全く違うテイストで、フラッシュバック映像も陰湿かつ残忍なものなので
苦手な方はちょっとご注意を。



因に本作で悪の根源'黒カビ'を演じたミケーレ・プラチドは、今年のヴェネチア映画祭で、ジャスミン・トリンカにマストロヤンニ賞をもたらした『IL GRANDE SOGNO』を監督しています。

★★★★☆