しまんちゅシネマ

映画ノート

キルショット<未>


2009年(米)監督:ジョン・マッデン出演:ダイアン・レインミッキー・ロークジョセフ・ゴードン=レヴィットトーマス・ジェーンロザリオ・ドーソン

「ジョセフ君といっしょ」ダイアン・レイン 『キルショット

■感想
今日はSHIGEさんの女神ダイアン・レインがジョセフ君と共演した最新作
エルモア・レナードの原作を『恋におちたシェークスピア』のジョン・マッデンが映画化したクライム・アクションです。

これは『レスラー』で復活を果たしたミッキー・ロークの復活第2弾として期待されたんですが‥
編集、撮り直しが繰り返されたあげく、ほぼ4年かかって今年始めにようやく公開。
しかしながら公開館はわずか5館、ほとんどDVDスルーという情けない経過を辿ってしまいました。
まったく勿体ない。制作会社の力量のなさを指摘する声が多いですね。


ミッキー・ロークトロントのマフィアの元で働く殺し屋ブラックバード
仕事中、弟を亡くした経験から「目撃者は殺す」を信条とする男
ネイティブアメリカンであるブラックバードは、インディアン居住区での静かな余生を夢見,
最後の大仕事を済ませる。

そんな折り、車目当てに絡んで来たチンピラ、リッチー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)と出会い、
不動産会社のオフィスを狙ったあるゆすりに加担することに。
ところが計画は失敗。逆に発砲され命からがら逃げ帰ることに。
目撃者はキャメロン(ダイアン・レイン)とウェイン(トーマス・ジェーン)の二人。
ブラックバードとリッチーはFBIの保護下に置かれた二人の命を狙い、居場所を突き止める‥。


孤独な殺し屋ロークの静と、荒くれ者のジョセフ君の動が対照的です。
無鉄砲で危険な青年ミッチーに亡き弟の姿を重ねてしまったブラックバード
ミッチーを見捨てられないんですね。。

一方ミッチーはブラックバードに次第に惹かれていくガールフレンド(ドザリオ・ドーソン)に
ストレスを感じていき、ブラックバードとの関係は微妙に危険を帯びて来ます。

命を狙われることになったダイアン・レインと元夫の間にも愛が再燃。
でもって、ダイアンに対峙するうちに、おそらくはロークの中にもダイアンに対する愛情が芽生えちゃうんですね。
それが命取りになるのだけど‥。

特筆すべきはやはりミッキー・ロークの演技でしょうね。
仕事を確実にこなす殺し屋だけど、温厚で優しい一面も併せ持ち
どこかに癒しの場を求めながらも叶わない。
彼の醸し出す雰囲気が、そのまま映画にノアールな味付けをしていて、かなりいいです。

そしてジョセフ君にもビックリ。
たれ目気味と思っていた目はつり上がり、眼光鋭く。
信じるものは何もない、悲しいまでに孤立した危険な若者を演じ切りました。
そもそもルークの役をデ・ニーロ、ジョセフ君の役をタラちゃんで、リドリー・スコット監督で撮影の予定があったとか。
タラちゃんはもっとクレイジーに演じただろうな。


ダイアンも後半大活躍。しかも花柄パンティー姿まで披露してくれますから(笑)
元夫を演じたのは『ミスト』のトーマスだし、この作品とにかくキャストがいいのです。


ただ、ラストがちょっとあっけなく余韻が残らないのよね~(汗)
せっかくのロークの熱演もこんな風に終るのか?と残念に思いました。
静かな余生を夢見た男の気持ちを最後にリフレインするとか、演出次第でもっと深みを出すことは可能だったはず。

これなら途中で監督交替するなりして、どうにかならんかったんかいなと思ったら
最後はアンソニー・ミンゲラシドニー・ポラックのお二人がノンクレジットで手を加えたとか。

キャストがいいだけに勿体ないですね。


★★★*☆