しまんちゅシネマ

映画ノート

ひまわり

 

1970年(イタリア)
監督:ヴィットリオ・デシーカ
出演:ソフィア・ローレン/マルチェロ・マストロヤンニ/リュドミラ・サベリーエワ/アンナ・カレナ
 


 
■感想
巨匠シリーズ最後となるのはヴィットリオ・デ・シーカの『ひまわり』
いや~『自転車泥棒』も『ひまわり』もこんな有名な作品なのに監督さんが同じだったのは
今回初めて知りました^^;
先日観た『自転車泥棒』と『ウンベルトD』では戦後の貧しさが描かれていましたが
『ひまわり』は戦争で引き話された夫婦の悲しい物語です。
 
終戦を迎えても戦地から戻らない夫。
誰もが消息不明=戦死と考える中、ソフィア・ローレン演じるジョヴァンナは夫の生存を信じ、
戦地シベリアまで探しにいきます。
写真を携え、夫アントニオの消息を訪ね歩き、ようやく一軒の家にたどり着くわけですが、
庭には洗濯物を取り入れる美しい女性の姿。
夫は凍死寸前のところを助けてくれたこのシベリアの女性と
子供までもうけ、ここで幸せに暮らしてたんですね。

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もちろんこの映画は随分前に見たことはあったものの、詳細を忘れていました。
タイトルにもなっている『ひまわり』は
ひまわりが太陽を求めるように、夫を探すひまわりのように強いヒロイン、ソフィア・ローレンを象徴している
自分の中でそういう解釈だったのだけど、
シベリアの地で画面いっぱいに広がるひまわりは
戦争で死んだ兵士たちを埋めた、その上に植えられたものだったことを改めて知り
戦争がもたらした悲劇というのを一層に感じることになりました。
 
夫の生存を信じ、気丈に前を向き続けたヒロインが
アントニオと再会した駅で何も言わずに列車に飛び乗り
席に座るや声を上げて泣くシーンには、こらえきれずもらい泣きです。
一方アントニオを演じたマルチェロ・マストロヤンニの戸惑いの表情も印象的でした。

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互いに思いを残しながら、もう元には戻れない二人
戦争さえなければと思わずにいられません。これは反戦映画でもありますね。
切ない音楽もいい。センチメンタルのきわみですが、やっぱり心に残る名作でした。