しまんちゅシネマ

映画ノート

メッセンジャー



■感想
映画で妄想世界の旅! 12本目
今日はウディ・ハレルソンがアカデミー助演男優賞にノミネートされた『ザ・メッセンジャー』(原題)を。
ここで言うメッセンジャーっていうのは、家族に戦死の訃報を届ける、軍からの使者のこと。
兵士の死亡が確認されれば24時間以内に家族の元に赴くのが彼らの任務。
今日はその旅に同行です^^;


ドアが叩かれ玄関を開けると、そこに制服姿の二人の軍人
「○○さんのご家族ですね」
言葉を失う家族・・
 
こういうシーン映画でよく見かけますが
兵士の死を伝える軍人はまさに死神です。
 
今回その死神@メッセンジャーに焦点を当てたのが本作。
メッセンジャーを演じるのは、イラク戦で負傷し、退役までの3ヶ月間のミッションとして任に応じる
若い兵士ウィル(ベン・フォスター)と、ベテラン軍人トニー(ウディ・ハレルソン)。
その任務は兵士の訃報を伝えるのですが、あくまで「伝える」ことが仕事で、家族に精神的な介入をしないというのがルールらしい。
このルールを新人フォスターにハレルソンが「俺流」に教授するのが楽しいんですよ。
*あいまいな言葉を使わない *遺族に触れない、また触れさせないなど
何項目かのルールにのっとり遺族に接するハレルソン
でも実際にはそんなにうまくいくはずもなく、、
このシーンで笑うのはひんしゅく~と思いつつも、ついプっと笑ってしまうんです。
 
本作で監督デビューを果たしたオーレン・ムーヴァーマン
イスラエル出身で兵役経験もあるということで、
死を受け取る家族の心を繊細かつエモーショナリーに描くことに成功しています。
死神に甘んじていたアル中のハレルソンが自分の存在を見つめなおすところは『マイレージ、マイライフ』の
ルーニーにも通じるところ。
『3:10決断のとき』の悪役が記憶に新しいベン・フォスターは、
メッセンジャーの任務を通し、頑なだった心を開放させます。
遺族の痛みを受け止め癒そうとするさまは『おくりびと』的な感動をもたらしてくれました。
 
ちょっと太りすぎじゃね?のサマンサ・モートンスティーヴ・ブシェミと実力者が脇を固め、見ごたえ十分。
特にブシェミには泣かされましたよ。
戦闘シーンなしにも戦争映画って撮れるものですね。
アカデミー賞ではウディ・ハレルソン助演男優賞ノミネートのほか脚本賞にもノミネートされてます。
戦闘シーンは皆無ですが、映画を通し、戦争によって失われるものや兵士を襲う戦争の後遺症などを
知ることになる、ビターな戦争ドラマでもありますね。
これ良かったなぁ。
今のところ予定はないけどぜひ日本公開して欲しいですね。