しまんちゅシネマ

映画ノート

カラーズ/天使の消えた街


1988年(米)
監督:デニス・ホッパー
出演: ロバート・デュヴァル/ショーン・ペン/マリア・コンチータ・アロンゾ/ランディ・ブルックス/グランド・ブッシュ 
 


 
■感想
デニス・ホッパー追悼! 8本目
 
ストリート・ギャングの抗争に明け暮れるロスアンゼルスを舞台に、それに立ち向かう警官の葛藤を描いた作品です。
好んで手を出さないタイプの作品だけど、デニス・ホッパー監督作品ということで観ました。
 
そもそもショーン・ペンが持ち込んだ企画をホッパーさんが気に入って監督したんだとか。
そのショーンはロス市警の新人警官を演じてます。
ショーンとコンビを組むベテラン警官にロバート・デュヴァル
若いショーンがストリート・ギャングを虫けらのように扱うのに対し
デュヴァルは彼らの再生を心から願う男。
彼とともに行動することでショーンの心にも変化が・・というお話。
 
スラム街で生まれ育ったものたちが、犯罪に手を染めていく過程に
逃れられない悪循環をみました。

その地で暮らすというだけで半分犯罪者扱い。
信用されずに虫けらのように扱われる人間の成れの果ては悲しいです
だけどそれを断ち切るのも人間の心
でも簡単なことではないのも確か。
 
主演二人はぴったりの役どころでしたね。
若くチンピラっぽいショーンを昔は苦手だったけど、最近はその監督作品の素晴らしさから
彼に対する見方も変わってしまいました。
この役も警官らしい太い腕っぷしで、サディスティックな警官を「らしく」演じてうまかったですね。
そんなショーンを「ギャングと同じ」と戒めなつつも、過剰に説教じみるわけでもなく
父親のように接するデュヴァルも相変わらずうまい。
 
冒頭ハービー・ハンコックの曲はイージー・ライダーっぽいノリで
ギャング抗争には全然似合わないのだけど、
小さな幸せを求め続け、わが道を飄々といく警官の心情にはリンクしてた。
 
原作はもっとドラッグディーラーに焦点を当てたものらしいけど、
ホッパーさん的には、そこをクローズアップしづらかったのかな。
 
心に訴えかけるのは好きなんだけど、この作品では焦点が絞れてないというか
ちょっと物足りなく感じました。