しまんちゅシネマ

映画ノート

ラスト・タンゴ・イン・パリ


1972年(フランス/イタリア)
監督:ベルナルド・ベルトルッチ
出演:マーロン・ブランドマリア・シュナイダージャン=ピエール・レオマッシモ・ジロッティ/カトリーヌ・アレグレ
   カトリーヌ・ブレイヤ/ヴェロニカ・ラザール

■感想
ロマンス大会3本目
マリア・シュナイダー
さんの訃報が入りましたね。
彼女の代表作にして、彼女を生涯苦しめることになったという本作を観てみました。
 
【ストーリー】
ある日、パリのアパートの空室で出会った中年の男ポールと若い女ジャンヌ。この時ポールは突然の衝動に駆られ、ジャンヌを凌辱する。そして2人は行為が終わったあと、何事もなかったように別れていった。ジャンヌには婚約者がいたが、この行為は彼女の心に深い印象を残し、またしてもその部屋を訪れることに。すると、そこにはやはりポールも姿を現わした。こうして互いに名も過去も明かさず、セックスだけの関係に浸っていく2人だが…。


妻を自殺で失った男と若い女が、互いの名前も素性も明かさずに、アパートの一室で情欲に身を任せる姿を描いた作品です。

マーロン・ブランド演じるポールの悲哀と、みずみずしいジャンヌ(マリア・シュナイダー)の肢体がぶつかり合い
アーティスティックでありながら切ない余韻を残す作品でした。
ジャンヌを演じたマリアはこの時まだ19歳だったんですね。


決して美人ではないけど、形のいい豊満な胸がチャームポイントで
観てるとだんだん可愛く感じてしまうのだけど
一般映画では初めてというアナルセックスの描写があったりするのが問題になって
わいせつ罪で裁判にかけられ、両者は結局敗訴。
19歳の女優にとって、それは大きな心の傷にもなっただろうなぁ。
結局その後も女優としてはぱっとせず、58歳で癌で死んでしまうとは。
監督自身も「あの映画の、予想外の、そして残酷なまでの成功に耐えるには、彼女は若すぎた。自分の若き日を略奪されたとしてマリアが私を非難していたのも、全く根拠がなかったわけではないと今は思っている。少なくとも一度、彼女に謝罪をしておくべきだった」と語っているとか。
今観てそれほどエロさを感じないのだけど、allcimenaのジャンルもエロティックとかになってますね(汗)

アートかエロか・・
ふむ。判断の難しいものもあると思うけど、これは少なくともポルノじゃないよなぁ。
浮気性の妻への憎悪と、断ち切れない愛に自暴自棄になる名もない男に空きアパートの一室で乱暴に犯され
性におぼれるジャンヌが、ふと男の醜さに現実に立ちかえる・・
サディスティックでもあるよね。
美しさの反面うらぶれた一面も持つパリの素顔。
美しいタンゴのリズム。  アートってことでいいんじゃない?
 
ご冥福をお祈りします