しまんちゅシネマ

映画ノート

ルメット追悼『蛇皮の服を着た男』

 
シドニー・ルメット監督 追悼第二弾
 
マーロン・ブランドを主役に迎え、南部における差別や因習を描く社会派ドラマ。
テネシー・ウィリアムズの『地獄のオルフェウス』を原作とする、ルメット初期の作品です。

蛇皮の服を着た男
(1960) アメリカ 
監督:シドニー・ルメット
出演:マーロン・ブランドアンナ・マニャーニジョアン・ウッドワード/モーリン・ステイプルトン/R・G・アームストロング
 
 
■感想
アメリカ南部のある町に、蛇皮の服を着た男ゼイビアマーロン・ブランドが流れ着く。
雨宿りにドアを叩いたのは、町の保安官宅
少し前に家に侵入した若者を追って家を出た保安官の代わりに
妻(モーリン・ステイプルトン)がゼイビルを迎え入れてくれた。
 
男はギター弾きだったが、新しい人生を始めたいと思っている。
保安官の妻は雑貨店に職を斡旋してくれると約束した。
 
そのとき、外で物音
保安官と相棒が、若者を見つけたようだ。
そして2発の発砲音・・
侵入者は射殺された。

「「失礼します」と入ってきたのに・・・」
妻は眉をひそめた。

冒頭の惨劇から、よそ者を容赦なく排除しようとする
南部の田舎町の保安官の姿が浮き彫りになります。
 
そんな町に流れ着いたゼイビル
ギター弾きの彼がトレードマークのように愛用している蛇皮の服は
まさによその者の証。
 

マーロン・ブランドを雇うことになる雑貨店の女主人にアンナ・マニャーニ
あばずれ女として、ガソリンさえ売ってもらえない女にジョアン・ウッドワード
町の因習にいやと言うほどまみれてきた彼女たちが
よそ者であるゼイビルに向ける思いは切実です。
それでも町はよそ者を許すことはしない。
 
町にはびこる差別はあまりに不条理で
そこから抜け出せない人々の閉塞感がとても痛い。
 
マーロン・ブランドは誰に媚びることもなく
アウトローだけど誠実さを持ち合わせたゼイビルを好演
 
最後は辛くて泣いてしまうけど、ジョアン・ウッドワードの強さがせめてもの救いでした。
観終わってみると、よそ者の証でもあった蛇皮の服は、
「自由」の象徴でもあったことに気づきました。
 
  
 
監督作品代表作品は見ていきたいと思いま~す。  さ、先が長いね 
 
作品一覧
その土曜日、7時58分(2007)
グロリア(1998)
NY<ニューヨーク>検事局(1997)
ギルティ 罪深き罪(1993)
刑事エデン 追跡者(1992)
Q&A(1990)
ファミリービジネス(1989)
旅立ちの時(1988)
キングの報酬(1986)
ガルボトーク 夢のつづきは夢…(1984)
評決(1982)
デストラップ 死の罠(1982)
エクウス(1978)
ウイズ(1978)
ネットワーク(1976)
セルピコ(1973)
怒りの刑事(1972)
ショーン・コネリー 盗聴作戦(1971)
約束(1969)
丘(1965)
未知への飛行(1964)
質屋(1964)
橋からの眺め(1962)
蛇皮の服を着た男(1960)
私はそんな女(1959)
女優志願(1958)