しまんちゅシネマ

映画ノート

ゴッド・アンド・モンスター

 
 
 
今日はずーーーっと観たいと思いながら、そのままになってた作品
 
フランケンシュタイン』と『フランケンシュタインの花嫁』で名を馳せながら、
謎の死を遂げたジェームズ・ホエール監督を
名優イアン・マッケランが演じた、ヒューマンドラマの傑作です。
 
ゴッド・アンド・モンスター 1998年 (アメリカ)
監督:ビル・コンドン
出演:イアン・マッケランブレンダン・フレイザー/リン・レッドグレーヴ/ロリータ・ダヴィドヴィッチ/デヴィッド・デュークス/ケヴィン・J・オコナー/マーク・キーリー
 
■感想
ハリウッドにホラー映画の波をもたらし、ビッグネームを得ながらも、41年に引退し、
57年にハリウッドの自宅で謎の死を遂げた映画監督ジェームズ・ホエール
映画はその最後の日々を描きます。
 
ハリウッドの自宅で、お手伝いのハンナと二人、余生を過ごすジェームズ・ホエールイアン・マッケラン)。
ある日、その目に留まったのが、新しくやってきた庭師の青年(ブレンダン・フレイザー

ジェームズは絵のモデルになって欲しいと申し出、二人の交流が始まります・・
かくしてゲイの爺さんイアン・マッケランと美しきマッチョ青年ブレンダン・フレイザー
薔薇色の日々が・・・なんてことを想像するかもだけど、違いました。
 
老いと病と、戦争にまつわる過去の悲しきトラウマからくる精神の錯乱は、日々大きくなり
ホエールは自分の精神がすべてのっとられることを恐れていたんですね。
その前に自分の人生を終わらせたい。
その手助けをしてくれるのがブレンダンだと・・
 
ゴッドアンドモンスターのタイトルの意味はよくわかりません。
もちろんフランケンシュタインはモンスターには違いない
でもゲイであるホエールを阻害する世間
そして、日々ホエールの精神を蝕もうとするものこそが、彼にとってはモンスターでしょうね。
そういう意味からすると、その苦しみから開放してくれる存在が神、ゴッドかもしれません。
 
だからラストは悲しいのだけど、何かホッとして、涙が止まりません。
美しい映像、美しい音楽もあって『シングルマン』に通じるものも感じました。
 

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もう、この役は自らもゲイであるイアン・マッケランしかできんだろって思いますね~。
ブレンダンも、野暮ったいけど自然さがとても良かった
そして素晴らしかったのがお手伝いのハンナを演じたリン・レッドグレーヴ
ハンガリーだったかな、ヨーロッパからの移民という設定でしょうね。
ゲイであるジェームズのオイタを忌み嫌いながらも、
年老いたジェームズを見捨てることもできず世話をやく、ハンナの描写がユーモラスしかも温かいのです。
 
素晴らしい映画でした。

 
ホラーでありながらコメディのようなおかしみをもつ『フランケンシュタイン』は
「死を笑う」しかなかった監督の悲しい過去が反映されていたのか・・
大昔に観たきりなので、ぜひ再見してみたいです。