しまんちゅシネマ

映画ノート

都会のアリス

 

Cinema de しりとり 8回目 【と】

グリーン・ホーネット』から繋がって、「と」で始まる映画
今日はヴィム・ヴェンダース初期の作品から『都会のアリス
『まわり道』、『さすらい』へと続く三部作の一本目となるロードムービーです。
都会のアリス(1973)西ドイツ
監督:ヴィム・ヴェンダース
出演:リュディガー・フォグラー/イエラ・ロットレンダー/リサ・クロイツァー/エッダ・ケッヒェル

【ストーリー】
旅行記の執筆のためアメリカを放浪していたドイツ人作家フィリップが、帰国のため立ち寄った空港で9歳の少女アリスとその母に出会う。ひょんな事から少女をアムステルダムまで連れて行くこととなったフィリップ。しかし待ち合わせたアムステルダムに母の姿はなく、彼は少女の記憶を頼りに祖母の家を探す旅に出ることとなる。
 
■感想
いいなぁ、これ。
フィリップ(リュディガー・フォグラー)は、ひょんなことから9歳のアリス(イエラ・ロットレンダー)と出会い、
アリスの記憶を頼りに、祖母を探すことになります。
フィリップ自身、仕事も中途半端に投げ出して、帰国しようとしていた矢先のこと。
 
お金もないのに、どうして自分が、という思いもあり、
最初はわがままなアリスに苛立ちも見せるのですが
懸命に不安と闘うアリスへの同情もあり、旅を続けます。
でも旅の途中で、二人の関係は微妙な変化を見せるのですよね。
 
苛立ちから、フィリップに辛らつな言葉をぶつけるアリス
グサりとはくるけど、そのストレートな言葉は彼の中に眠っていた何かを目覚めさせます。
そして、アリスの祖母探すというミッションを達成することは、
フィリップ自身の存在意義を見出すものに、なっていったんでしょうね。
 

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だんだん父と娘みたいになっていく二人が微笑ましい。
説明を極力省いているからこそ、その空気から多くのことを感じる映画です。
音楽もいいし、なんだか優しい。こんなの大好き。
 
アムステルダムの電車はあんななんだなぁと、
見知らぬ土地の風景をみるのも楽しかった。
 
ちなみにこの映画の主人公フィリップ・ヴィンターは
三部作の他の二作品にも登場して、さすらいの旅を続けるらしいんですね。
それ興味津々、観たいわぁ。

予断ですが、ヴェンダースはアリスの母を演じたリサ・クロイツァー
この映画の翌年結婚、でも4年で破局してますね。