しまんちゅシネマ

映画ノート

トラウマ映画館『愛と憎しみの伝説』

町山さんのトラウマに挑戦!

久々にトラウマ黒塗り。
今日は、ハリウッドの名女優ジョーン・クロフォードの養女が出版した暴露本
「親愛なるマミー」を原作とし、家族の半生を描く『愛と憎しみの伝説』です。
愛と憎しみの伝説(1981) アメリ
監督:フランク・ペリー
出演:フェイ・ダナウェイ/ダイアナ・スカーウィッド/スティーヴ・フォレスト/ハワード・ダ・シルヴァ
    ルターニャ・アルダ/プリシラポインター/マラ・ホーベル
 
ジョーン・クロフォードといえば、後期の『何がジェーンに起こったか』が有名でしょうか。
昨日は、45年のオスカー受賞作ミルドレッド・ピアース』を観てみましたが
ミステリーと、一代繁盛記ともいうべき大河ドラマがミックスされ、見ごたえのある作品でした。
しかし、その裏で、私生活はこんなにドロドロだったんだ。
 
先にも書いたように、これは養女クリスティーナの自叙伝が原作なんですね。
一歳でクロフォードに養女にもらわれたクリスティーナは
豪邸に住み、美しい服を与えられたものの、決して幸せではなかった。
というのも、クロフォードに虐待されて育ったから。
 
冒頭、正面から顔を見せないまま、いつもの朝の風景が映し出されるんだけど
まず洗顔の様子がすごい。
ブラシを使って腕をこすりあげる様子はまるで手術前の手洗い。
しかも顔までゴシゴシして、そのあと氷で引き締める。
それら一連のシーンから、豪華ながらストイックな暮らしぶりや
異常なまでに潔癖症であることを一気に見せる。
 
しかし人間いつまでも美しいはずもなく
歳とともに、役も少なくなり、ハリウッドからお払い箱になる
それまでの暮らしを失う不安は彼女を、さらなる虐待へと駆り立てるわけです。
とにかく、クロフォードを演じるフェイ・ダナウェイの狂気に満ちた演技が見もの。
幼少のころクロフォードはクリーニング店で働く母親を手伝う貧しい暮らしをしていて
だからこそ、娘のクローゼットにクリーニングの針金ハンガーを見つけて
激怒したりと、自らのトラウマが虐待の内容に繋がってるんですよね。
 
最悪なのは女優を目指ししたクリスティーナが、病気で穴をあけた昼メロの役を
クロフォード自らがテレビ会社にかけあい、横取り!
落ち目だった彼女は、これに再起をかけようと目論んだらしいですが
28歳の役を63歳のクロフォードが演じる画面は、おぞましいの一言。
 
フェイ・ダナウェイは、この演技を酷評され
映画もラジー賞5部門を受賞してしまいました。
ハリウッドスターの末路を、こんな形で描いたことに、映画界は厳しく、
日本でも未公開に終わってます。

でもね、そんなつまんない映画ではなく面白いです。
しかも今やカルトな一本になってるらしいですよ。
ハロウィンではクロフォードを模したコスチュームも人気だとか。
モンスターかいなw