しまんちゅシネマ

映画ノート

エレクトリック・ミスト 霧の捜査線


 
今日はトミー・リー・ジョーンズ主演の日本未公開のミステリーです。
 
エレクトリック・ミスト 霧の捜査線<未>(2009) アメリカ/フランス
監督:ベルトラン・タヴェルニエ
出演:トミー・リー・ジョーンズジョン・グッドマンピーター・サースガードメアリー・スティーンバージェン
ケリー・マクドナルドジャスティナ・マシャド/ネッド・ビーティ
 

人気ミステリー作家ジェームズ・リー・バーク原作のベストセラー小説の映画化となる本作
テキサスの田舎町で、連続レイプ殺人事件を捜査中の刑事ロビショー(トミー・リー・ジョーンズ)は
わき道から猛スピードで飛び出した赤いスポーツカーをサイレンを鳴らし止めた。
運転していたのは地元で映画を撮影中の俳優サイクス(ピーター・サースガード)。
飲酒運転のサイクスは連行される途中、おかしなことを話し始める。
撮影現場で、露骨の周りに鎖の巻きついた人の骨を見かけたというのだ。
ロビショーの脳裏に、40年前のある記憶がよみがえる・・。
 
田舎町で起きた連続レイプ殺人事件の犯人を探しながら
同時に40年前に起きた黒人射殺事件の真相を明らかにしていくという作品です。
 
トミー・リー・ジョーン演じる地元刑事ロビショーは、17歳の時に鎖を巻きつけた黒人が沼を逃走中
射殺されるところを目撃しており、そのことがトラウマにもなってたんですね。
事件を追ううちに、二つの事件の関連性に気づいてしまうロビショーは
命を狙われることになる。
スリルの中、FBIからの助っ人捜査官と謎を追う形のミステリーとなっています。
 


この映画面白いのは、ちょっとホラー混じりであること!
というのが、ロビショーは霧の立ち込める沼で、南北戦争時代の兵士の亡霊を目にし
南軍の大佐と会話する。大佐は人生を示唆し、時には捜査の謎解き指南までしてしまうんですよ。
 
60年代、アメリカ南部では黒人は虫けらのように扱われていた時代
その事件を解明することが、新しい時代に向かう一歩となるのだと思わせる真摯なつくりがいいですね。
捜査の助っ人にやってきたFBIの女性捜査官がヒスパニック系であることも
時代の流れを感じさせる。彼女の優秀さも謎解きを面白くします。
南部の田舎町にたち込める差別意識にメスを入れ、臭いものに蓋をする権力者たちの気質をも暴く
カンヌで監督賞を受賞したことのあるフランス人監督ベルトラン・タヴェルニエの手腕は確か。
 
哀愁を漂わせながらも事件を解決していくトミー・リー・ジョーンズも流石の存在感で
静かでいて骨太、人への愛情をも感じさせる作品に仕上がってます。
 
ただね、最後のワンシーンがわからないのよ。
『シャイニング』か??(||゚Д゚) ??