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映画ノート

ウェス・アンダーソン新作『ムーンライズ・キングダム』

カンヌ映画祭のオープニングを飾ったウェス・アンダーソンの新作は
1965年のニューイングランド州沖の島を舞台に、12歳の少年少女の逃避行と
二人を取り巻く大人たちの姿を描くドラマです。
1館あたりの平均興収が『ドリーム・ガール』を抜いて新記録、
IMDbのスコアが8.3と何かと話題ですね。




2012年(アメリカ)
原題:Moonrise Kingdom
監督:ウェス・アンダーソン
出演:ジャレッド・ギルマンカーラ・ヘイワード
ブルース・ウィリスエドワード・ノートン
ビル・マーレイフランシス・マクドーマンド
ティルダ・スウィントン

教会で出会って、突如恋に落ちたサムとスージー
それぞれの暮らしになじめないものを感じていた2人が
一年の文通を経て心を通わせた12歳のある日
ついにニューイングランド州沖の島に逃避行を敢行する。という話。

孤島に2人・・と聞くと、思い出すのはB・シールズの『青い珊瑚礁』(笑)
大人のいない楽園で海と戯れる、その世界に憧れたことがあるのは
私だけじゃないよね?




12歳っていうのは、突然恋に目覚める年齢でもあり
この映画でも、2人が手紙で計画を進め、目的地で合流し、
楽園生活を始めるというくだりが愛しくて、胸キュンなんですね。

でも、12歳というのは同時に周りがまるで見えていない年頃でもあって
大人を誤解し、自分たちだけの世界に没頭したりもする。
この映画は、そんな子供の純愛と、
2人をめぐる大人たちの攻防を描くお話です。





スージーの父にビル・マーレイ、母にフランシス・マクドーマンド
この2人が不仲で夫婦としてまるで機能していない。けれども親は親。
サムの所属するボーイスカウトのスカウトマスターにエドワード・ノートン
ボーイスカウトが世界を救うと本気で信じているような一途さが滑稽で
ノートンは役者として新しい顔を見せてくれます。
地元の警官を演じるブルース・ウィリスは、孤独で悲しくそして優しい。
いつものメンバー+αな面々のこれまでと少し違う役割も面白く
生真面目でオフビート、滑稽だけど愛しい物語が展開します。
1965年という時代設定もあってか、映像はかすかにスモーキー。
スージー灯台の家がドールハウス風だったり、
インテリアや小物へのこだわりも監督らしく、アートな側面も感じますね。
子供が主演の物語だけに、いつもよりもちょっぴりピュアで
賛美歌風の音楽が美しい。

ただね、映像や音楽の心地よさもあってか
ついウトウトしちゃったんですよね(汗)
実際近くからはいびきも聞こえてきたし、
ファンタジーっぽいのにドキュメンタリー的に淡々としてるところは
好みの分かれるところですよね。
勿論ウェス・アンダーソンワールドがお好きな人は楽しめると思います。
エンドロールで席を立たない方がいです。ま、立ってもいいけどw

日本公開は来年?



★★★★