しまんちゅシネマ

映画ノート

the Future ザ・フューチャー







the Future ザ・フューチャー(2011)カナダ
原題:The Future
監督:ミランダ・ジュライ
出演:ハミッシュ・リンクレイター、ミランダ・ジュライ、デビッド・ウォーショフスキー、イザベラ・エイカース、ジョー・パターリク



君とボクの虹色の世界』の女性監督ミランダ・ジュライの監督2作目となる作品。
今回も監督自身が主演を務めます。

同棲も4年目となったジェイソン(ハミッシュ・リンクレイター)とソフィー(ミランダ・ジュライ)は、怪我をして余命6ヶ月と宣告された猫を引き取ることを決め迎えに行きますが、シェルターからは怪我の回復まで一ヶ月間は引き渡せないと告げられます。
パウパウと名づけたその猫のよい里親でありたいと思う気持ちから
二人は猫を引き取るまでの一ヶ月に、自分たちの生活を真剣に見直そうとするんですね。



画像からも伝わるかと思うのだけど、
一緒にいても互いにラップトップに向かい合う二人の暮らしぶりは、
マンネリでどこか虚ろ。
ソフィーは子供ダンス教室の仕事をやめ、
ジェイソンは環境保護のボランティアを始める。
インターネットを解約し、新しい生活を模索する二人ですが、
何も変えられないことに焦りを感じるソフィーのある行動が波紋を起こすことに。。

本作は『君とボクの~』で成功を収めた監督が、次の作品作りに焦りつつ
何も生み出せないでいた頃の経験を元にしているとのこと。
友達が結婚、出産し、自分の世界だけが止まっていると感じることは
誰にもあるわけで、何かを打破したいという思いは伝わります。

印象的なのは、ジェイソンに人生を語る老人の存在
妻との思い出の詰まった家に暮らし、物への思い入れを語りつくすその老人は
化石みたいでもあるけれど、長い時間を生きた人間としての深みがあり
ジェイソンは自分はまだ人生のビギナーだと気づくんですね。

こう書くと「あれ?どこかで聞いたフレーズ」と思う方もいるでしょ。
そう、実はミランダ監督の旦那様は『人生はビギナーズ』の監督マイク・ミルズ
人生はビギナーズ』はミランダ監督との出会いを描いたものだったらしいのです。

話が飛びましたが
映画は二人のそれぞれの焦燥感や将来への思いを
ファンタジーを交え瑞々しく描くのだけど
最終的に彼らが出したであろう答えは観るものに委ねる作りです。

個人的には、ソフィーの選択をどう捉えるべきなのかに迷ってしまった。
焦る心から開放されることを幸せと捉えるべきなのか
焦りすぎて本当の愛を見誤ることもあるのだということなのか。
観るものが自分自身に問いかける機会となれば、それでいいのかもですね。




お喋りをする猫のパウパウが可愛くてね~。
↑このお手てをムギュムギュするのが可愛くてたまらん。
猫が喋ったらこんな声だろうなぁと納得する声をあててるのは監督自身。
人生はビギナーズ』のワンちゃんとパウパウとで会話してくれたら萌え死にそう。

『the Future ザ・フューチャー』は1/19からの公開です。