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映画ノート

ファニーゲーム



リメイクシリーズ、今日はミヒャエル・ハネケ監督の『ファニーゲーム』オリジナルを観ました。



ファニーゲーム(1997)オーストリア
原題:Funny Games
監督:ミヒャエル・ハネケ
出演:スザンネ・ローター、ウルリッヒ・ミューエ、フランク・ギーリング、アルノ・フリッシュ、
ステファン・クラプチンスキー

別荘にやってきたショーバー一家は、見知らぬ若者ふたりに突如監禁される。目的不明の彼らに恐れおののきながらも、一家は脱出を試みるが失敗。容赦ない殺戮が始まる。

USリメイク版を先に観て、オリジナルをようやく観た形です。
ほとんど同じものにしているということで、物語の行き着くところも知って観たのだけど
やはり後味が悪く、嫌悪感を覚えてしまう内容です。

しかしハネケがスナッフビデオにしたかったとは思えないわけで、
監督がこの映画を撮った目的はなんだろうと気になり、
今回は、US版リリース後の監督のインタビュー記事を読んでみました。
ハネケ作品の意図するところを少し理解できたので、今日はインタビュー記事の紹介をしながら感想を書きます。

動物や子供を殺さないという暗黙のルールは、いともたやすく破られ
伏線を張った「希望」までも即座に打ち砕かれる。
暴力を楽しむ若者はカメラ目線で観客に語りかけ、ゲームだと言ってはばからない。

本作を撮った目的を、ハネケは「挑戦」だと言ってます。
映画はあくまで作り物。それゆえ、なんでもできるのだということ。
だからこそ観客に、全てを真実と思い込むべきではないと教え
作り手には、奇麗事だらけの映画作りに警鐘を鳴らしてもいるのでしょう。

白い衣装に白手袋といういでたちだけでも不快感を感じるものですね。
オープニングとエンドロールに流れるヘビメタ風の音楽は、これから起こることの暴力性を予告するものであると同時に、「ジョン・ゾーンはヘビメタなんてやらない。それもあくまでパロディで、映画の本質を象徴するもの」だとのこと。
この頃は「自分の映画はすべて実験」だったようですね。
愛、アムール』を観ると、実験のときは終わったのかなという気もします。

ハネケによると、英語では役者の台詞のトーンなど細かいところをキャッチできず、US版ではニュアンスを伝えきれてないかもしれないとのこと。
同じ内容、同じように撮影しているにもかかわらず、オーストリア版のオリジナルの方がクオリティが高く感じるのは、そのせいかもしれません。

災難に遭う一家の夫には『善き人のためのソナタ』の名優ウルリッヒ・ミューエ。
妻役のスザンネ・ローターともに、素晴らしい演技です。


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Tracked from CINEmaCITTA&.. at 2013-02-19 19:10 x


タイトル : 「ファニーゲーム」 オーストリア
アラウンド・ザ・ワールド ! 映画で世界一周 ~ オーストリア またまた、お久しぶりでございます。 前回から約3ヶ月以上のブランクがありましたが、まだまだ続いてるんですよ~。( ̄∀ ̄*)グフフ 今回は、2001年のカンヌ映画祭において 『ピアニスト』 でグランプリを獲得した ミヒャエル・ハネケ監督 の1997年の作品。 かなり不条理な暴力を描き、各地で物議を醸し出した衝撃の問題作です。 【ファニーゲーム】 FUNNY GAMES (1997) 製作国 オーストリア ......more