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映画ノート

桃(タオ)さんのしあわせ

桃(タオ)さんのしあわせ(2011)中国/香港
監督:アン・ホイ
出演:アンディ・ラウ、 ディニー・イップ、 チン・ハイルー、 ワン・フーリー、 チョン・プイ キン 、 アンソニー・ウォンサモ・ハンツイ・ハーク
製作総指揮を務めるロジャー・リーの実体験を元に、
60年間仕えてきた家政婦のタオさんと、雇い主の長男ロジャーとの心の絆を描くヒューマンドラマ。
作品に魅せられたアンディ・ラウがノーギャラでロジャーを演じています。



冒頭、市場で買い物をする初老の女性がタオさん(ディニー・イップ)。

時間をかけてしっかり食材を選ぶタオさんは市場でも有名な存在。
そんなタオさんが食卓に並べる食事たちのシンプルで美味しそうなこと。

けれど、生まれた時にはそこにタオさんがいたロジャーにとっては極日常の食事でタオさんに感謝の言葉をかけることもありません。
しかしタオさんが脳卒中に倒れ、ロジャーはタオさんにいかに尽くしてもらっていたかに気づくのです。

映画は、施設で療養することになるタオさんと、タオさんを見舞うロジャーの姿を通し
家族を超えた繋がりや、老人介護の現状などを描き出します。

介護施設はあまり清潔とは言えないけれど、でしゃばりすぎることなく、
老人の世話をする介護者たちはいい感じで、タオさんが次第に馴染んでいくところにも一安心。

忙しい仕事の合間にタオさんを見舞うロジャーとタオさん、まるで恋人同士のような二人が微笑ましいのです。

施設には色んな人が入居していて、家族との関係も様々。
そんな中、タオさんとロジャーの関係は本当の家族を超えたものがある。
それも、タオさんのシンプルで献身的な生き方がもたらしたものでしょうね。

タオさんがロジャーに与えてくれたものがしっかり伝わる描き方に
製作者のタオさんへの感謝の気持ちが感じられ、優しさに心が満たされました。

★★★★☆