しまんちゅシネマ

映画ノート

緑の地球を守ろう『サイレント・ランニング』




勝手録画の中から、変わった作品を見つけたので観てみました。
2001年宇宙の旅』『未知との遭遇』『ブレードランナー』など、数々の名作SFの特撮を手がけたダグラス・トランブルが監督したSF『サイレント・ランニング』です。
サイレント・ランニング(1972)アメリ
監督:ダグラス・トランブル
出演:ブルース・ダーン、 クリフ・ポッツ、 ロン・リフキン、 ジェシー・ヴィント、 ジョセフ・キャンパネラ 、 ロイ・エンゲル
 近未来、大気汚染などにより、もはや地球から緑は消え、わずかに残された植物は宇宙ステーションのドーム内で栽培されているのみ。植物学者のローウェルはここで植物の栽培に尽力していたが、計画断念を決めた地球から、ついにドームを放棄して帰還せよとの命令が下り・・。




 地球の誰もが緑を諦めようとする中、宇宙ステーション内の植物ドームを懸命に守ろうとする一人の男を描くSFです。植物学者ローウェルを演じるのはブルース・ダーン。懸命に抵抗した末、彼はその思いを一体の小さなロボットに託す。宇宙にポッカリ浮かぶドームを遠くから映し出すラストシーンは切なさと同時に未来への小さな希望を感じさせ、胸に迫るものがあります。

 時代ゆえの古さは感じるし、特撮の名手の監督作品としては、映像は地味でアナログな印象。でもそれがかえって、エコを守ろうとする映画のテーマに合ってるかもしれませんね。冒頭、クローズアップで見せる色鮮やかな動物や植物。こんなに美しい自然が地球から消えてなくならないことを祈らないではいられません。

 宇宙ステーションに派遣され、ロボットと孤独に過ごす男というのは『月に囚われた男』を連想させるし、ステーションで緑を栽培するのは『サンシャイン5027』を思い出します。色んな映画の原型になる作品かもですね。ちなみにロボットには足を切断した人が入っていて、ロボットの足は人の手だったんですね。