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映画ノート

ペパーミント・フラッペ





ペパーミント・フラッペ(1967)スペイン
原題:Peppermint Frappé


中年の独身の医者フリアンは、幼馴染のパブロと再会し、新妻エレナに目を奪われる。
エレナはかつて出会い、フリアンの心を占領する憧れの女性だった・・・。

スペインのカルロス・サウラ監督の初期の作品です。

主人公は幼馴染の妻に恋心を募らせていく中年男フリアン
彼は医院に働くナース、アナをエレナ風に改造し始める。
このアナとエレナの両方をジェラルディン・チャップリンが演じているところがミソで
地味でコンサバな黒髪のアナとファッショナブルで奔放なブロンドのエレナは別人のよう。







徐々にフリアンに心を惹かれていくアナ。
しかし、フリアンに思わせぶりな態度をとりつつも、エレナの思いは夫にあり
そのことはフリアンにとんでもない行動を起こさせるんですねぇ。
タイトルのペパーミント・フラッペはフリアンの好物で
クラッシュした氷にペパーミントを注いだ爽やかな色目が美しい飲み物ですが
これが誘惑の様々なシーンで使われ、最後には思わぬ凶器にも・・

中年男の歪んだ恋の結末は驚愕のもの
結局エレナがフリアンの憧れの女性だったかどうかも曖昧なまま、アナがエレナと一体化してしまった。さらにはエレナをも超え、フリアンの欲するものへと変貌したとも言えるラストシーンはファンタジックでもあり不思議な後味を残します。


おしゃれで陰湿、傲慢でミステリアス
カルロス・サウラ監督の才能の一端を感じる作品かと思いますね。
ちなみにこの映画がもとで監督とジェラルディン・チャップリンは結婚
まだ若くてかわいらしいジェラルディン嬢ですよ。
ブニュエルにオマージュを捧げた作品だそうです。