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映画ノート

アップサイドダウン 重力の恋人




 

アップサイドダウン 重力の恋人(2012)カナダ
原題:Upside Down
監督:フアン・ソラナス
出演:キルステン・ダンストジム・スタージェスティモシー・スポール
日本公開:9/7
2重引力の存在する世界を舞台に、異なった引力の支配する世界に住む二人が惹かれあうという
ちょっと変わったSFロマンスです。

ジム・スタージェスは「下」の世界に住む青年アダム
キルステン・ダンストは富裕層の暮らす「上」の世界に住む女性エデン。
2人は幼い頃、引力の合流する地点で偶然知り合い、愛をはぐくむものの、ある事故で離れ離れに。

それから10年後、テレビでエデンが無事でいることを知ったアダムはエデンに遭う為に
危険を侵し、エデンの職場であるトランスワールドで働き始める・・

富裕層と貧困層の暮らす2重の世界が存在するというのは、近年SFでよく描かれるけれど
2つの重力が存在する世界と言うのは初めてかしら。
人々はそれぞれの世界の引力の影響を受けるため、アダムとエデンも逆さの状態で交流します。
上の世界のキルステンとスタージェス君のキスは、スパイダーマンを髣髴とさせるし
互いの引力を使って、大きくジャンプしながら森を駆け抜けたりするのが楽しい!


面白いのは一方の世界においても、元の世界の引力に支配されてること。
だから、エデンの世界で逢瀬を果たすのは大変なことで、
そのための苦労や工夫がコミカルで笑わせてくれます。
撮影はどうやったんだろうなぁと興味も沸きます。



しかし、異なった世界の交流は認められておらず2人の恋は危険を伴うことから
映画はサスペンスフルなものへと展開していくんですね。
それだけに、切実な恋物語として面白く観ました。

奇想天外なSFゆえ、ツッコミどころも多いですが
独創的な発想と、幻想的で美しい映像はとても新鮮でした。

上の世界は豊かではあるけれど強欲で、排他的
貧しい下の世界の人々の方が優しく素朴であることなど
富裕な国家に対する皮肉も垣間見えますね。

2人の恋を助けることになるトラススワールドでの同僚、「上」の世界のボブを演じるティモシー・スポールは、相変わらず脇役としていい仕事をしますね。
無重力を利用したスポールのダンスシーンは笑えました。

ラストはあまりに足早なんですが、続編ありきなのかなぁ。
ま、語り過ぎないくらいの方がいいのかもしれません。