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映画ノート

フルートベール駅で




サンダンスで審査員賞と観客賞を受賞した『フルートベール駅で』を観てきました。
フルートベール駅で (2013)アメリ
原題:Fruitvale Station
監督:ライアン・クーグラー
出演:マイケル・B・ジョーダン/メロニー・ディアス/オクタヴィア・スペンサー/アリアナ・ニール
日本公開:2014/3/21
2009年、新年が明けたばかりのオークランドの地下鉄内で、22歳の黒人青年オスカー・グラントが、駅の保安員に無抵抗のまま射殺されるという事件が起きました。

本作はその事件の当事者オスカーの一日に焦点を当てた実話ですが、そのことを知らなくても、映画の冒頭に、事件を遠巻きに見る映像が流れるため、何が起こるのかは想像ができるつくりです。



こうした事件が起きると、白人警官による黒人への行き過ぎた暴力が問題となり、人種問題へと発展します。オスカーの事件でも、彼が黒人でなければ事件は起きただろうかと思ってしまいます。
けれど、映画はあえそれに触れず、オスカーと彼を取り巻く人々との関係を淡々と見せる描き方。
まずはオスカーという一人の人間に注目して欲しいということのようですね。




オスカー(マイケル・B・ジョーダン)の最後の一日は、大晦日にして母親の誕生日。
家族が集うオスカーの実家の暖かいこと。
オスカーにはヒスパニック系のガールフレンドがいて、4歳になる娘もいる。
喧嘩っ早いところもあり、刑務所に入ったこともあるけれど根は優しくて子煩悩。
そんなオスカーが、これまでの生き方を悔い、真っ当な道を歩こうと気持ちを新たにする。
神の導きのような神秘的な力を感じてしまうところだけど
迎える新しい一年がどんなに素晴らしい年になっただろう。そう思わずにいられません。

フラッシュバック的に描かれるオスカーの刑務所でのワンシーンで
オクタヴィア・スペンサー演じる母親が、あえて息子を突き放し、刑務所を去るという場面
ハグを求め暴れるオスカー。
終盤、このシーンが伏線になっていたと気づき、流石に涙が溢れました。

製作にフォレスト・ウィテカー
監督のライアン・クーグラーはオスカーとは同じ歳という若手で、これが初めての長編作品。

誰にも家族や愛する人がいて、支えあったり、誇りを失わないように懸命に生きている
黒人も白人も命の重さは同じ・・そんなことを感じる作品でした。




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