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映画ノート

【映画】ドリーム

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 ドリーム(2016) アメリ
原題:Hidden Figures
監督/脚本:セオドア・メルフィ
 出演:タラジ・P・ヘンソン
オクタヴィア・スペンサー/ジャネーヌ・モネイ/キルスティン・ダンストケヴィン・コスナー

【あらすじ】
60年代初頭、NASAでは黒人女性たちが人間コンピューターとして宇宙開発プログラムに携わっていた

【感想】
2月はオスカー月ということで、関連作品を観ていきます。
今年のノミネーションのサプライズの一つ、作品賞候補となった『ヒドゥン・フィギュアーズ』を観ました。

監督は『ヴィンセントが教えてくれたこと』のセオドア・メルフィ
NASA初期の宇宙開発計画に貢献した3人のアフリカ系アメリカ人女性数学者の知られざる実話を映画化した一本です。

舞台となる1961~2年は『ヘルプ~人とつながるストーリー~』と同じ頃。
ヘルプでオスカーに輝いたオクタヴィア・スペンサーが本作でも助演女優賞にノミネートされています。

今回オクタヴィア(ドロシー)の職場はNASA
NASAは数字に強い黒人女性を雇い、人間コンピューターとして計算業務にあたらせていたんですね。
キャサリン(タラジ・p・ヘンソン)、メアリー(ジャネール・モネイ)も同僚です。

しかし彼女らの職場の部屋には「colored computers」=「黒人のコンピューター課」の標識。
実はNASAでも水飲み場やトイレは「黒人用、白人用」で分けられ、黒人差別が普通に行われていたという事実。
ロケットを宇宙に飛ばそうというNASAで、まだこれだったんだとビックリ。

映画はそんな環境で奮闘する女性陣を描くわけだけど、この映画の面白いのは単なる人種差別映画になってないこと。
キャサリンは子供のころから数学に天才的な能力があり、その才能が宇宙飛行に多大な貢献をするのが痛快で感動的なんです。

しかし、歴史に残る働きに違いないのに、キャサリンの功績が知られてないわけで、それがタイトル「知られざる偉人」の所以でしょう。figuresと複数なのは、それぞれの分野で活躍したドロシー、メアリーを含めるのかと。他にもたくさんの知られざる偉人がいるということかもしれませんね。
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本作は先日のアメリカ映画俳優組合賞の、色んな映画賞のアンサルブル演技賞はじめ、様々な賞でアンサンブル演技が評価されています。タラジの天才っぷり、肝の据わったオクタヴィアのリーダー的カリスマ感、ジャネールの負けん気、
加えて、ジンワリ意地悪パンチを食らわすキルスティン・ダンストに代表される典型的な白人たち、(いつオクタヴィアが●●●パイで反撃に出るかとヒヤヒヤしましたがw)、チームの成功に心を尽くす一途さが黒人女性との垣根を取り払うことになるケヴィン・コスナーも機能してる。クライマックスのNASAの一体感も興奮しました。
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それにしても黒板につらつらーっと書き連ねた数式が宇宙飛行の成功を左右するんだから、数学ってすごい。
これぜひ子供さんにも見て欲しい。

「黒人」というタグが必要でないほどに、女性として、人として道を拓いた3人
彼らの本物の写真が最後に出てきて、涙腺が緩んだなぁ。
映画も最高に面白かった。



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