しまんちゅシネマ

映画ノート

【映画】 『ラブ・ライザ/Love Liza(原題)』 ガソリン中毒のフィリップ・シーモア・ホフマン




ラブ・ライザ(原題)(2002)アメリ
原題:Love Liza
監督:トッド・ルイーソ
出演:フィリップ・シーモア・ホフマンキャシー・ベイツ/ジャック・ケーラー
日本公開:未公開
【ストーリー】
妻ライザの突然の自殺後、夫ウィルソンはガソリンを嗅ぐようになり・・


フィリップ・シーモア・ホフマン主演の日本未公開のドラマです。
ホフさんの訃報のあとこれ再見しなくちゃと思っていたのに、レンタルでvery long wait状態が続き
気がついたらDVDリリース前の作品を置くsaving listの方に移動されてまして
レンタルできないんだと残念に思っていたらテレビで放送してくれました。

ホフさん演じる主人公ウィルソンは、妻を自殺で亡くした男性。
彼は枕の下に封筒に入った妻の遺書を発見するけれど、それを開くことも出来ない。
ウィルソンは妻の自殺の理由が自分にあるのではないかと恐れてるんですね。




心の痛みを癒すためガソリンを嗅ぎ始めるウィルソン・・
彼は妻の死を受容できないままに、ガソリンに依存してしまうのでした。

一方ライザの母(キャシー・ベイツ)も娘の自殺の理由を知りたい。
ライザの死をめぐって、夫と母、二人がそれぞれに葛藤しぶつかり合いながら
受容に向かって動き出すのです。


本作が初めての主演作だったホフさんは、泣いたり笑ったり怒ったり
実にさまざまな顔を見せてくれています。
ふとっちょなのに今にも壊れそうだったり、脆い男を演じさせたらピカ一だった。
鼻血を出して朦朧とする姿を見るのは辛かったけれど
どのシーンにもホフさんがいて、演技を堪能できたのは嬉しかった。

監督は『ハイフィデリティ』で禿のレコード店店員を演じていたトッド・ルイーソ 
シリアスな問題を扱ってはいるけれど、ラジコン仲間デニージャック・ケーラー)とのバディシップや、キャシー・ベイツとのやり取りはどこかユーモアもあって暖かい。
可笑しみを同居させつつ、哀しみと愛の本質を描いているのは好みでした。
脚本はホフさんの実兄であるガードン・ホフマンによるもの。
サンダンスで脚本賞を受賞しています。


ラストシーンは素直に取ればウィルソンの再生
でももしかして違った解釈ができるんじゃなかろうか と考えてしまった。
いくつかのシーンを思い返し、意味付けを再考してしまう面白さもありましたよ。

元気に走るホフさんが微笑ましい動画貼っておきますね。
キャシー・ベイツvsホフマンの名シーンでもあります。