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映画ノート

【映画】ザ・ヴァンパイア ~残酷な牙を持つ少女~




ザ・ヴァンパイア ~残酷な牙を持つ少女~(2014)アメリ
原題:A Girl Walks Home Alone at Night
監督/脚本:アナ・リリ・アミールポアー
日本公開:2015/9

感想
イラン女性特有のフード付の黒いガウン(正式名知りません)に身を包み、夜の通りにボーっと立つ美貌の娘(シェイラ・ヴァンド)は、ある晩、売春婦と間違えられ、街のならず者ドラッグディーラーの家に連れて行かれます。
しかし、男が手を出そうとした瞬間男に牙をむく。
彼女は悪人たちの血を吸って生き続けるヴァンパイアだったのです~。


イライジャ・ウッド製作総指揮、イギリスに生まれ、アメリカで育ったイラン人女性監督アナ・リリ・アミールポアーのデビュー作。
イラン人キャストによる架空のイランの街を舞台にした作品ですが、ロケ地はカリフォルニアでアメリカ制作。
女性監督と、わざわざ「女性」を付けるのは差別だと言う監督もいるけれど
私としてはどうしても「女性ならでは」な部分を探したくなります。
本作の場合、ヴァンパイアの葛藤を女心として描いてるところがそうかな。


ヴァンパイア娘(と書くのは彼女に名前が与えられてないから)は、麻薬ディーラーを殺したあとすれ違った青年(アラシュ・マランディ)と再会し交流する。
ピチピチな若者の血を欲しくないはずはないんですが、娘は青年を殺さない。
警戒することなく、純粋に娘に好意を示す青年に彼女は孤独を癒されたのでしょう。
一緒にレコードを聴きたい、バケモノだと思われたくない、でも美味しそうって思ってるに違いない。彼女の葛藤を勝手に想像してしまうから、画面が暗転するたびに
食ったのか?と変な緊張が走るんだよね。
イヤリングの発想も女性ならでは
ホラーやコメディというより、幻想的な青春ものといったところか。
クールなモノクロ映像がジャームッシュ風で美しい。
荒廃した町で起きる出来事を夢のように描いているのは『ロスト・リバー』にも似てますね。

たまにマカロニウエスタンしてしまう音楽の使い方も面白い。
そして青年の飼い猫のニャンコがいい演技するんです。
猫好きさんにはたまらないかも。