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映画ノート

【映画】さすらいのカウボーイ



さすらいのカウボーイ(1971)アメリ
原題:The Hired Hand
出演:ピーター・フォンダウォーレン・オーツ/ヴァーナ・ブルーム/ロバート・プラット


あらすじ
カウボーイのハリーは、7年もの放浪生活を終えて、妻子の待つ故郷に帰ってきた。しかし、平穏な生活を望んだ彼に、親友の危機の報せがもたらされ・・

感想
ウェスタンをもう1本
ピーター・フォンダ監督/主演の新感覚ウェスタンと言われる作品です。

イージー・ライダー』の次に撮った本作で、フォンダは妻子を残し7年も放浪生活を送る男ハリーを演じています。
しかし放浪にも疲れを感じ、直前に殺された仲間を葬り、
7年間ともに旅するアーチ(ウォーレン・オーツ)を連れ立ち妻の待つ故郷へ・・。

幻想的とも言える映像にメローなメロディがかぶさり
まるで音楽ビデオをみているような感覚に陥ります。
フォンダはこんな美しい映画を撮る人だったんだな。

なぜハリーは7年間もさすらっているのか
大した理由は説明されないのですけど、おそらくは『イージー・ライダー』と同じく、ベトナム戦争に疲弊する時代を投影したのでしょうね。

川に浮かぶ少女の死体に涙を流し、西海岸に夢を求めた若者ダンは
ベトナムで命を落とす若者の象徴でしょうか。


 
夢の先に何もないことを知る抜け殻のようなハリーは
妻子との暮らしに生きる場を求める
平穏に経過していたとしても、やがてそれも破綻していたでしょう。

ハリーが唯一心を開き、分かりあえるのはアーチのみ。
さすらうもの同士にしか分からない強い絆が2人にはあるわけですが・・

たそがれっぱなしのフォンダよりも、アーチを演じるウォーレン・オーツの包み込むような優しさが印象的です。

女性の立場からすると奥さんがとにかくお気の毒でしたね。
しかし作品としては、凄く好き。

西部劇をニューシネマで描くと言う点でも異色でしょう。