【映画】トムハ2役『レジェンド 狂気の美学』
レジェンド 狂気の美学 (2015)イギリス/フランス
原題:Legend
監督/脚本:ブライアン・ヘルゲランド
出演:トム・ハーディ/エミリー・ブラウニング/ デヴィッド・シューリス/ ダフィー/ クリストファー・エクルストン/ チャズ・パルミンテリ/タロン・エガートン
日本公開:2016/6/18
【あらすじ】
レジーとロニーの双子のクレイ兄弟は裏社会をのしあがっていくが・・
【感想】
トムハが一人二役を演じたことでも話題の『レジェンド 狂気の美学』。
1960年代ロンドンに暗躍した双子のギャング、クレイ兄弟の栄光と破滅を描く実録クライムサスペンスです。
いや~トムハって綺麗にしてたらホントいい男♪
冒頭、お抱え運転手のフランクが寝坊したため、フランクの家まで歩くレジー(笑)
ゆっくりと後を追う警察車両。
途中出会うご婦人方に気さくに挨拶するレジー。
ギャングとはいえ、ここで生まれ育ったレジーは地元に普通に溶け込んでいるのが分かります。
フランクの家に着いたレジーはそこでフランクの妹フランシス(エミリー・ブラウニング)と出会い、
2人は恋に落ちるのです。
ここまでの無駄のない演出にまず感心。
その後はレジーとフランシスの恋の行方、アメリカのマフィアと結びつきながらのビジネスやギャング間の抗争
兄弟の絆と確執といったことが描かれていくわけですが・・
正直監督の思い入れの割りに映画は面白くなっていかない。
敵対するギャングなど登場人物の顔と名前を覚え切れなかったり(それは私の問題だけど)で、
映画自体に乗り切れなかったのと、キャラクターがもう一つ生きていないと感じるから。
ロニーの同性愛的な部分も、60年代にオープンなのは正直というか無謀なわけだけど、それ以前に物語に生かす方法はなかったものだろうか。タロン君の役にも変な期待しちゃったし。登場シーンは好きだけどね(笑)
あ、でもトムハの演技はいいんですよ。
トムハ史上最高にカッコいいレジーと最高にキモいロニーを演じるトムハの一人二役は、表情や喋り方だけでなく、合わせ鏡みたいな内面の違いを演じ分けていて見ごたえがある。
↑このトムハ好きすぎる~
レジー役をオファーされた際、ロニーも演じることを条件に役を引き受けたというのはいかにもトムハらしい。
精神病質でホモセクシャル。キレたら怖いロニーは実際、初めはキモくてウザイけど、次第にロニーなりの魅力も感じられるようになります。
トムハは喧嘩シーンもそれぞれのキャラにあった闘い方で演じているので、その点も要チェック。
トムハVSトムハの兄弟げんかなんか嬉しくてニマニマしちゃいましたから。
ただ、ほんとトムハの演技で牽引してはいるのに映画がなかなか面白くなっていかなくて
やっと気持ちが乗ってくるのは、ロニーがレジーのビジネスの足かせとなり、兄弟の確執が顕著になるあたりからですかね。
すでに2/3ほど経過していて、これはちょっと遅い。
前半部分に実は後半に繋がる布石があるのだけど、それもう少し印象に残るものにすると興味が持続したかもなぁ。
クライマックス、レジーがロニーの耳元である言葉を囁くシーンではガツンとくるものがありましたね。
監督は自身が抱えてきたクレイ兄弟への謎をこのシーンで解き明かしたつもりだと思う。
でもね、一方でレジーの行動の理由としては普通過ぎる気もして物足りなくもある。
兄弟愛よりも、レジーは彼の中にあるロニーを否定できないとしてくれたほうがすっきりした気がするんだなぁ。
双子は遠くにいても痛みを共有することがあると聞いたことがあるけど、肉体は二つでも実体は一つとか、そういうことがあるのかなと思うので。
監督は『42 ~世界を変えた男~』のブライアン・ヘルゲランド。
窮屈な世界から抜け出そうとする映画を得意とする監督でしょうかね。。
競演は他に フィラデルフィア・マフィアに「いかにも」な チャズ・パルミンテリ。
フランシス役のエミリー・ブラウニングはナレーションも担当しています。