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映画ノート

パートナーズ(1984) ジョン・ハートのゲイ演技が秀逸

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パートナーズ

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『フレンズ』などのテレビシリーズを多く手掛けるジェームズ・バロウズ監督による刑事ものコメディ
1月にお亡くなりになったジョン・ハートの追悼記事を書いた時に、FBでお薦めいただいた作品です。


【あらすじ】
同性愛者の多く住む地域でゲイのモデルの連続殺人事件が発生。
刑事のベンスン(ライアン・オニール)と事務員のカーウィンジョン・ハート)がゲイのカップルを装い、現地に潜入おとり捜査をすることになる。


冒頭、上司に呼び出され別々に捜査の命を受ける二人。
爽やかな笑顔で受付嬢のハートをつかむ色男ベンスン@オニールとまじめを絵に描いたようなカーウィン@ハートが対照的。

カーウィンは隠れゲイで、その本質を見抜いた上司がベンスンとゲイカップルを組ませ、ゲイ殺人事件に当たらせようというのだから、今となっては人権問題になりそうな危ない設定だがそこが楽しい。


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いかにもゲイ好みなタンクトップやレザーなどゲイ風ファッションに身を包むオニールの困り顔が笑える。
そして何と言ってもジョン・ハート

字幕は若干オネエ言葉に訳されてはいるものの、喋り方はごく普通。
なのに所作にそこはかとない「ゲイ」がにじみ出てしまうのだから、これは演技なのか素なのか?(笑)

ひそかにベンスンを気に入ったのか、ベンスンのパンツにアイロンをかけw、かいがいしく食事の世話をする乙女ぶりも板につき、献身的なカーウィンとの暮らしに、ベンスンが居心地よくなるのも理解できるほど。
焼きもちから上司に告げ口をするという行動に出るのも女心(笑)
でもひ弱そうに見えていざとなったら度胸もあり。
ゲイの一途さを、決して下品になることなく表現したジョン・ハートがとにかくうまかった。


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殺人事件の捜査に関しては、ゲイコミュニティに潜入し聞き込みをするベンスンがゲイの皆さんに誘惑される様子がコミカルに描かれ、コメディ色が強い。
一方、ゲイの生態に通じるカーウィンが的確に分析して、本職のベンスンよりも優れた推理で犯人に迫っていくのが上手い。’
ただし犯人の動機は私にはイマイチピンと来なくて、殺人事件をめぐるミステリー的には面白味にかける。
ここは、2人の演技を楽しむのが正解かな。
2人そろってゲイでないところに、ゲイに対する偏見などが垣間見えるのもリアルだ。
切ないBGMで表現されるカーウィンの思いは、ゲイである監督自身の経験が加味されているのかも。

ともあれ、ジョン・ハートの演技が再評価されるべきと思った一本。
観れてよかったです。



映画データ
製作年:1984
製作国:アメリ
監督:ジェームズ・バロウズ
脚本:フランシス・ヴェベール
出演:ライアン・オニール
   ジョン・ハート
   ケネス・マクミラン
   ロビン・ダグラス
   ジェイ・ロビンソン
   デニース・ガリック