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映画ノート

【映画】エル(原題)

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エル(原題)
(2016)フランス
原題:Elle
監督:ポール・ヴァーホ―ヴェン
脚本:
デヴィッド・バーク
出演:イザベル・ユペール/ロラン・ラフィット/アンヌ・コンシニ/シャルル・ベルリング/ヴィルジニー・エフィラ/ジョナ・ブロケ

【あらすじ】
テレビゲーム制作会社のディレクター、ミシェル(ユぺール)は自宅で覆面の男に襲われる。
警察に通報しないのは、過去を蒸し返されたくないからだ。
その後、犯人と思われる男からEmailが届き、その日の服装をどこかで観ているらしき内容に恐怖を覚えるミシェルは・・


【感想】
ポール・ヴァ―ホ―ヴェンが監督し、イザベル・ユペールがアカデミー主演女優賞にノミネートされたサスペンスドラマ。
DVDで鑑賞しました。

あらすじを見て「あれ?ヒロインはエルという名前じゃないの?」と思った人がきっといると思う。
私も完全にそう思ってました。
じゃタイトルの【Elle】は何かというと、「彼女」という意味のフランス語らしいのね。
常識?すみません。。

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冒頭から強烈な強姦シーン
男が立ち去った後、ユペール演じるミシェルは割れた食器の散乱する床を掃き、湯船につかる。
表面に赤い血が浮かんでくる描写も生々しいけれど、
両の手でそれを揺らして混ぜ、何事もなかったかのように無表情のユペールに
なぜ彼女は静かにことを受け流そうとするのか と ここまでのシークエンスだけですでに衝撃的。

ミシェルが警察に通報しないのは、実は過去に関係があり、彼女は蒸し返されたくない秘密を持っている。
ところが、犯人からと思われるEmailが身近なものの犯行を匂わせたことから、誰がやったんだということに。
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90年代ならば、ヒロインの過去を暴きつつ、犯人を捜しリベンジするエロチックスリラーになりそうだけど
本作はそれだけに終わりません。
レイプをきっかけにミシェルの中で何かが弾け、ある転機とも重なって、彼女に変化をもたらす。

時にユーモアを湛え、ヴァーホ―ヴェンらしいインモラルな部分も盛り込みつつ
湯船のシーンのように、たおやかにことを受け流し前を向くヒロインを筆頭に
女はみんなサバイバーというヒューマンドラマが意外にも爽快でした。
還暦すぎとは思えない美しい肢体にも驚くけれど
ヒロインを辛辣に、でも正直で可愛らしく演じたユペールが最高。
受賞は逃したけど、間違いなくオスカー級!!

お気に入り度4.1



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