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映画ノート

ロバート・アルトマンのイメージズ<未>(1972)


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ロバート・アルトマン監督、スザンナ・ヨーク主演のサイコスリラーです。
スザンナ演じるキャサリンはある日女友達から電話を受け取る。気乗りのしないままに会話するキャサリンですが、途中から電話の声は聞き慣れぬ女のものとなり、夫の浮気をほのめかすのです。
混線?
そして、その夜遅くに夫ヒューが帰ってきてキスを交わしていると、今度は夫が事故で死んだ昔の恋人の姿に変わってしまうではありませんか。
静養のため、夫と2人田舎のコテージで数日過ごすことになるキャサリン。しかしそこでも彼女の身に不思議なことが起こり続けるのです。
これはもうほぼホラーですね。
死んだ昔の恋人が現れる幽霊物語だからというのではなく、キャサリンの神経が崩壊していく、その見せ方がホラー。自分の精神がどうかなっているのではないかと思うのは、とてつもなく怖いことですよね。
キャサリンも不思議なものを見ていることを夫に相談できない。
夫に知られたくない内容というのもミソで、自分なりに解決策をまさぐり始めるんですが、観ている方も、キャサリンの幻覚と現実に起きていることの境が分からず、ハラハラしたり、ほっとしたり、驚愕したりと一喜一憂することになるんです。
モビール、鏡、パズル
車の窓ガラスに映る元愛人の子供と姿を重ねる映像など、徹底的に分裂、分身をイメージさせる映像も印象的
最初は雅楽器を駆使したツトム・ヤマシタの不穏な音楽と、ジョン・ウィリアムスの穏やかなピアノ曲を交互に鳴らして
幻覚に入り込むキャサリンと正常時の彼女の精神を対比させていると思ったのだけど、次第にピアノ曲でさえ不気味に感じてしまう。キャサリンにシンクロして自分の頭がおかしくなってるんじゃないかと不安にさせられます。これ以上見せられたら絶対ヤバい(汗)
スザンナ・ヨークはこの演技でカンヌ映画祭女優賞を受賞
ちなみに作品中朗読される、キャサリン執筆中の小説(詩?)は、実際にスザンナ・ヨークの手によるものだそうで、不思議な世界観が映画に合っていたような。というか、これが本作の原作?よくわかりませんでした。
精神異常を抱えた者の不安と恐怖を体感する怖い映画ということで、ポランスキー『反撥』を思い出すところ。
アルトマンは77年に『三人の女』を撮ってますが、この頃は不安定な精神を描くことにはまっていたのかな。

映画データ
製作年:1972
製作国:アメリ
ルネ・オーベルジョノワ
マルセル・ボズフィ
ヒュー・ミリアス
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