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映画ノート

【映画】5パーセントの奇跡 ~嘘から始まる素敵な人生~

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5%の視力という障害を持ちながら、それを隠し、5つ星ホテルの研修に参加した青年のお話し。サリヤ・カハヴァッテによる自伝小説の映画化で、『白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々』のマルク・ローテムントが監督した作品です。

5パーセントの奇跡 ~嘘から始まる素敵な人生~
Mein Blind Date mit dem Leben

【あらすじと感想】
サリーは高級ホテルで働くことを夢見る高校生。
しかし、突然の病気発症により、視力の95%を奪われることに。
それでも夢を諦めきれないサリーは、極度の弱視であることを隠し、研修に参加するのだが。。

まずはこれが実話というのに驚きます。
視力以外の感覚を研ぎ澄まし、ホテル内の様々な仕事を体験していく
人の何倍も努力し、準備して臨む主人公の根性は相当なもの。
こんなことまでできるの?という驚きもあり、障害者への偏見に気づかされたりもする。

ところが、映画が進むにつれ、彼の限界も顕著になってきて
危なっかしさにヒヤヒヤさせられてしまうのですよ。
こういった演出を楽しめる人はいいのでしょうが、
チキンな私なんか、見てられなくて何度も一時停止を押してしまった。
そうなると、楽しむどころの騒ぎじゃないんだなぁ。
せめて休み休み、緩急つけてやって欲しいと思った。

あと、ホテルを職場に選ぶには、客の安全を守る必要があるし
最低限、客に快適に過ごしてもらうことが求められるでしょ。
その意味で、夢の実現のため、障害を隠して研修を受けることは自己中な気がして
複雑な思いがぬぐえなかった。マウンテン・バイクのシーンも要らないんじゃなかろうか。

とはいえ、最終的には彼の選択には納得できました。

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登場人物はみなよかったですよ。
サリー役のコスティア・ウルマンは瞳が美しく魅力的だし
チャラいのにしっかりサリーをサポートする、同じ研修生マックスのキャラもよい
サリーとマックスのバディムービーとして楽しみつつ
障害者に対して、今一度考えてみる映画かもしれません。

人は色んな可能性を持っている。
頭ごなしに否定するのでなく、まずは認め、可能性を生かし
誰もが生きがいを持って暮らしていける社会であるといいねと、
そんなことを教えてくれる作品でした。

映画データ
製作年:2017年
製作国:ドイツ
監督:マルク・ローテムント
脚本:オリヴァー・ツィーゲンバルク/ルート・トマ
出演:コスティア・ウルマン
   ヤコブ・マッチェンツ
   アンナ・マリア・ミューエ
   ヨハン・フォン・ビューロー
   アレクサンダー・ヘルト
   ミヒャエル・A・グリム