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映画ノート

【映画】ハーパー探偵シリーズ/新・動く標的

ニューマン大好き人間には外せない私立探偵もの第二弾
『ハーパー探偵シリーズ/新・動く標的』です。

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ハーパー探偵シリーズ/新・動く標的(1975)

The Drowning Pool


【あらすじと感想】
私立探偵ルー・ハーパー(ポール・ニューマン)は、6年前に束の間の情事を楽しんだアイリス・デベロー(ジョアン・ウッドワード)から、不貞の事実をチクる手紙を夫に送った人物を突き止めるよう依頼され、ニューオーリンズにやってきた。
アイリスの夫は大地主の息子で資産家だったが、母親のオリビアが家の実権を握っており、アイリスは窮屈な生活を強いられている。やがてオリビアが水死体となって発見され、警察はデベロー家を解雇された運転手リービスに疑いの目を向ける。ルーパーもアイリスに手紙を送ったのはリービスとみて独自に捜査を始めるが・・・。

ロス・マクドナルド原作の私立探偵ルー・ハーパー・シリーズを映画化した『動く標的』の続篇です。監督は前作のジャック・スマイトからかわって『暴力脱獄』のスチュアート・ローゼンバーグ。

一匹オオカミの私立探偵ルー・ハーパーを演じるのは勿論ポール・ニューマンで、依頼人アイリスにニューマンの愛妻ジョアン・ウッドワード。
不貞の事実を夫に知られたくないから、手紙を送り付けた相手を探せとの依頼だが、それだけの簡単な仕事で終われば映画にならないわけで、案の定ハーパーはある陰謀に巻き込まれ、命の危険にさらされることになる。
『動く標的』のタイトル通り、敵と思しきが次々と現れ、その正体を追う展開が面白い。
しかしながらそれぞれのつながりに魅力的なドラマが用意されてないので、後半 あ、そうなの?と、ちょっと驚きはするものの、全体に淡々と経過を追う感じになるのは少し残念。

でもニューマンはやっぱり魅力的。
ロシアン・ルーレットよろしく銃を突きつけ相手を脅すハードボイルドな一面をニヒルに決め、鍛え上げた身体で原題の「溺れるプール」からの脱出を図る。
かと思えば、売春婦の誘惑をのらりくらりとかわしつつ、リービスの居場所を聞き出す南部訛りのニューマンの可笑しみたるや。
そもそもそのダサい服はどこから調達したんだよというw
この振り幅がニューマンなのだ。
ショーン・コネリートム・クルーズにはマネできまい。

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ウッドワード登場場面はあまり多くなく、2人のやり取りは少ないが
元カノの今の不倫相手を告発する手紙の主を探すという、ハーパーにはクソみたいな仕事を引き受けるのも、いまだにアイリスを想っているからだろう。
そのごり押し設定に説得力を与えるのはアイリスをウッドワードが演じているからこそ。

良家に生まれながらお金には困り、おそらくは家のために愛のない結婚をしたアイリス。その反動で不倫に走り、酒に身をやつすことになった悲しい女性をウッドワードは静かに演じている。

前作のスタイリッシュなオープニングが大好きなので
目覚まし時計の音を彷彿とさせる冒頭、空港での一幕にニヤり。
「また、ついてない一日が始まる」感がちょっと嬉しい。

ラストに見せる男の優しさがまたいいんだ。