しまんちゅシネマ

映画ノート

ブリット

 

ブリット(1968)アメリ 

Bullitt 

 

【あらすじ】

サンフランシスコ市警察本部捜査課のブリット警部補(スティーヴ・マックイーン)は、チャルマース上院議員ロバート・ヴォーン)から裁判の証言者となるマフィア組員ジョー・ロスの保護を命じられる。ロスは組織の金を横領しマフィアから命を狙われていた。ブリットは部下のデルゲッティ部長刑事やスタントン刑事と交代でホテルの一室にてロスを保護するが、夜中に部屋に入ってきたヒットマンにロスを撃たれ、スタントン刑事も重傷を負う。ロスが自ら部屋のドアを開けたことを知ったブリットは事件の裏になにかがあることを感じ取り、捜査を開始する。(wikiより抜粋)

 

【感想】

ブログのお仲間guchさんが"本格派、超おススメの刑事さん達”の中で紹介してくれた一本。

 

人気絶頂のスティーヴ・マックィーンが主演したピーター・イェーツ監督作品。

サンフランシスコの坂道で繰り広げられるカーチェイスが有名ですが、わたくし初見でございました。

評判のカーアクションはというと、CG混じりの今どきのそれとは違い、派手さはない。しかしだからこそのリアイティがあって緊張するし、部品を落としながら坂道をバンプするところがいかしている。

もう一つのアクションシーンを彩る空港での追跡劇も、移動する飛行機を縫いながらの追いかけっこに度肝を抜かれる。犯人も逃げ足が速いがマックィーンも良く走ったなぁ。

 

アクションが語られることが多いけれど、本作の魅力はそれだけじゃない。

スタイリッシュなオープニングとレストランでのジャズセッション、病院にやってきたヒットマンを追う際の、エアシューターから落ちてくるリネンと走り去る男の絶妙なタイミング等、なんだかリズムがいいのです。

 

追われていたはずのブリットのマスタングが2人の殺し屋の乗ったダッジのバックミラーに映る瞬間にも痺れます。

 

マックィーンはストイックなブリットを寡黙に演じているけれど、人物描写は思いのほか雄弁で、いけすかない政治家はもちろんのこと、必要とあれば上の命令にも背く一匹狼的なところも魅力的。

かといって人と繋がりを持たないわけでもなく、裏社会にも情報を得るルートを持っている。上司にも部下にも信頼されていて、特に強面デルゲッティとブリットの阿吽のバディ感がたまりません。

ストーリー的にわかり難いという感想が散見するのは、チャルマース上院議員を演じるロバート・ヴォーンの存在感によるところが大きいかな。

結局彼は権力を振りかざす政治家でしかなかったのだけど、半端ない憎たらしさで

悪者感を醸し出すので、映画をいい意味でかき回してくれる。

世界は俺様が回してる的なチャルマースが実は利用されていただけだと気づく終盤、スゴスゴと空港を去る姿が印象的でした。

 

一つツッコミたいのは、空港のシーンで本物の(←ネタバレ注意)ロスが銃を持っていたこと。搭乗者のセキュリティが弱すぎなのはリアリティに欠けてしまわないか?

それとも60年代ってそんなものだったのかな。

 

ブリット