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映画ノート

【映画】ドクター・スリープ

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ドクター・スリープ(2019)
Doctor Sleep

【あらすじと感想】
マイク・フラナガン監督による本作は、かの惨劇から40年後を描く、『シャイニング』の続編といえる作品です。
雪山のホテルから母とともに逃げ帰ることができたダニー少年も、今やおっさんダン(ユアン・マクレガー)。20歳で母を亡くした後も、ひっそりと身を隠すように生きてきたが、酒におぼれどん底の暮らしをしている。狂った父親に殺されかけたのだからそりゃ心に傷も負うだろうと思うところだけど、彼の抱えるものは単なるトラウマじゃない。ダンは自身の持つ超能力【シャイニング】と折り合いをつけながら生きることを余儀なくされていたんですね。

この超能力【シャイニング】は前作のタイトルになってるし、劇中ハロランによって語られてもいたのだけど、キューブリック版はホーンテッドマンション+狂ったジャック・ニコルソンの印象が強く、ダニーの特殊能力の印象は薄かったと思う。

ところが本作では【シャイニング】が前面に出てきます。
しかも同じ力を持つ少女と力を合わせ、レベッカ・ファーガソン率いる闇のメンバーと超能力バトルを繰り広げたりする。
正直そうしたアクション系ホラーは好みではないけれど、本作はそれでもめっぽう面白い。

まずは、前作の再現性の高さよ。
冒頭からあの不穏な音楽とホテルのカーペットの模様にワクワクしてしまったのだけど、何より面白いのは、本作を観ることで「あー、本当はこういう映画だったんだ」と、前作の本題を改めて理解できるところ。前作を知っていることで面白さが倍増。でも必ずしも前作を観ていなくてもいい。

本作はトラウマからアル中になり、自堕落な暮らしをしていたダンが、なんとか立ち直ろうとする話でもあり、ダンを演じるユアン・マクレガーの内面の変化を見せる演技も素晴らしい。
ホスピスに勤め始めたダンが、死の淵にある患者から「ドクター・スリープ」と呼ばれるエピソードなど、スピリチュアルなドラマとしてもちょっといい感じ。(猫が綺麗!)

ひっそりと静かに生きてきたダンが、アブラの出現により自分の存在意義を見出し、ついにはある使命に身を投じる。
そういえば前作でハロランが惨劇の最中のホテルに戻ってきたのは、彼も使命を感じてのことだったんだろうと思ったりしましたね。
時代は巡り、役割は次へと受け渡される。
スターウォーズ』の世界観にも似ていて、ダンはいつしかオビ・ワンに見えてくるよね。

キューブリック版に満足できなっかったキングもこの続編には大満足とのこと。
『シャイニング』ファンもきっと同じ。ありがとうフラナガン




映画データ
製作年:2019年
製作国:アメリ
監督/脚本:マイク・フラナガン
出演:ユアン・マクレガーレベッカ・ファーガソン、カイリー・カラン、カール・ランブリー