しまんちゅシネマ

映画ノート

さらば、わが愛/覇王別姫(はおうべっき)

イメージ 1

1993年(香港)
監督:チェン・カイコー
出演:レスリー・チャンチャン・フォンイーコン・リー/グォ・ヨウ	
【ストーリー】
身を持て余した遊廓の母に捨てられ、京劇の養成所に入れられた小豆。淫売の子といじめられる彼を弟のようにかばい、辛い修行の中で常に強い助けとなる石頭。やがて成長した二人は、それぞれ“程蝶衣”、“段小樓”と名を変え、京劇界きってのスターとなっていた……。
■感想

  「観るべきシリーズ」第2弾!!

 

間が空いてしまいましたが、ようやく第2弾。
殆ど観たことがない香港映画です。

 

これは、「タイム誌が選ぶオールタイムベスト」でも2位にランクインしていて、とても気になっていました。

 

京劇で「覇王別姫」を演じる程蝶衣と段小樓の人生を少年時代の1925年から70年代まで、中国の激動の時代にからめて描いた壮絶なラブストーリーです。

 

京劇の養成所で育った小豆と石頭。女の子っぽい小豆は蝶衣と名を替え、女形を演じ、石頭は小樓と名乗り、京劇「覇王別姫」で人気を博すスターに成長します。
イメージ 2

少年の頃からいじめにあってきた蝶衣(レスリー・チャン)は唯一自分を守ってくれる存在であった、小樓(チャン・フォンイー)に友情以上の想いを持つようになるのですが、所詮は男。その想いを伝えられるはずもない。
やがて小樓は売春宿のナンバーワンの菊仙(コン・リー)と結婚することになり‥。

 

この時代、同性愛など認められるはずもなく、やり場のない憤りをぶつけるレスリー・チャンが切ないのです。

 

この映画は菊仙も含めた3人の愛憎劇というだけでなく、激動の時代を背景に、京劇の衰退というものも描いています。
時代は太平洋戦争にさしかかり、日本軍が進撃。
京劇も文化大革命の波に飲まれ、公演が禁止された時代だったんですね。

 

タイトルにもなっている「覇王別姫」というのは、四面楚歌で有名な項羽と虞美人を描いた物語。
項羽を一途に思う虞美人の悲しい結末をもった物語ですが、レスリー・チャン演じる蝶衣が、虞美人に自分の身を重ね、
劇と区別がつかなくなっていくかのような展開が悲しい。。

 

身体は男でも心は女。指先の動きに至るまで繊細で美しいレスリー・チャンの壮絶な演技がとにかく凄い!
どんなに思っても実るはずのない愛を切なく、狂おしく、そして激しく演じてくれました。
こんなにいい役者さんなのに、2003年に自ら命を断ったのは本当に残念で悲しいですね。


劇中劇の「覇王別姫」も目を楽しませてくれます。
伝統芸能である京劇を演じるにあたっては、かなりの訓練をしたのでしょうね。


映像も素晴らしかった。特に少年時代の前半の自然を映し出す映像が奇麗で好きでした。

 

スケールの大きいラブストーリーでしたね。エンドロールと共に涙が溢れました。



★★★★☆