しまんちゅシネマ

映画ノート

悪魔の呼ぶ海へ


2000年(アメリカ/フランス/カナダ)監督:キャスリン・ビグロー原作:アニタ・シュリーヴ出演:ショーン・ペンエリザベス・ハーレイキャサリン・マコーマックサラ・ポーリージョシュ・ルーカスシアラン・ハインズ/ウルリク・トムセン/アンダース・W・ベアテルセン/カトリン・カートリッジ【ストーリー】写真家のジーンは夫トーマスらを連れ、19世紀の後半に起きた殺人事件を記事にしようと、その現場となったマッティノーズ島を訪れる。ジーンは事件の真相を探っていくにつれ、自らも当時の事件のごとく、現在での複雑な人間関係の渦へ巻き込まれていく…。

黒く塗りつぶせ! サラ・ポーリー! いきます

■感想
アニタ・シュレーヴの全米ベストセラー小説の映画化。ホラータッチのサスペンススリラーです。

19世紀の後半に起こった殺人事件。それは二人の移民女性が斧で惨殺されるという悲惨なものでした。
当時の裁判記録を手にした写真家のジーンはなぜかこの事件に惹かれ、著名な詩人である夫トーマス(ショーン・ペン)、
義理の兄とそのガールフレンドとバケーションを兼ねヨットで島を訪れます。

しかし、殺人現場跡に立ちカメラを向けるジーンには、当時の殺人の様子がフラッシュバックのようによぎるのでした。
このあとジーンを待ち受けていたものとは‥。


物語は19世紀後半と現代という二つの時代が交錯します。

サラ・ポーリーは19世紀に生き、殺人事件の現場で、唯一生きて発見された美しい移民の若妻として登場します。
物語が進むにつれ見えてくるのは、サラの鬱屈した思いと戦慄の事実‥。



そして現代のジーン(キャサリン・マコーマック)の周りでも、事件の再現のように人間関係が交錯していくというもの。。

とにかく圧巻はサラの存在感ですね~。この頃のサラには何か鋭さがあります。
満たされないものを内に秘め狂気を帯びてくる様子はゾクゾクしてしまいました。

ただ、この二つの時代を結びつけるものが明確に描かれていないことが、少し残念。
19世紀の方はサラの存在感もあって完璧なのですが、現代の方が少し弱い。
ジーンの夫やその兄弟との関係等、どれも描こうとするところは理解出来るものの、想像に頼らざるを得ない部分が多かったかな。

とは言え、悲しいホラーな作品はかなり好きな私は存分に楽しむことが出来ました。
なので、これもお気に入りです。

血にまみれたサラはホラーが似合いすぎました。
ドーン・オブ・ザ・デッド」の監督さんは、きっとこのサラを見て主演に抜擢したんだろうなぁ、と勝手に想像。


ショーン・ペンは著名な詩人という役でしたが、そんな風には見えません~^^;
でも彼も哀しい過去を抱えていて‥、満たされない夫婦、結びついてはいかない運命、、という点で
19世紀のサラを取り巻く環境に通じるものがあったのでしょう。

未公開がもったいない作品だったと思います。


★★★★☆