しまんちゅシネマ

映画ノート

ハロルドとモード/少年は虹を渡る


1971年(米)監督:ハル・アシュビー出演:バッド・コート/ルース・ゴードン/シリル・キューザック/チャールズ・タイナー/エレン・ギアヴィヴィアン・ピックルズ/エリック・クリスマス【ストーリー】19歳のハロルド(バッド・コート)にとって“自殺"は生活の一部だった。母親が青くなればなる程、彼は満足感を味わう。彼の愛車は霊柩車。それを運転して葬式に出席する。たびたびの葬式通いのうちに、もう1人の傍観者がきているのに気づいた。80歳のおばあちゃん、モード(ルース・ゴードン)である。
■感想
バレンタインに観るロマコメ25本の22位にランクインした作品です。
自殺狂の19歳のハロルドが80歳のおばあちゃんと知り合い恋をする‥。
マジでっか? これがバレンタイン向けのラブコメ?と疑問に思いながらも、
以前から気になってたこともあり観てみたんですが。。

いやいや、ぶったまげな作品でした。

とにかく主人公のハロルド君、やたらと自殺を繰り返すんです。
でも何故か死んでない(笑)
笑えるのはハロルド君の愛車で、これが霊柩車。
ピカピカのポップな新車を買い与えても、すぐにミニ霊柩車に改造してしまう
前半は驚きのブラックコメディです。

ハロルド君はお金持ちのお坊ちゃんぽくてパパはいないけど、奇麗なママと何不自由ない暮らしぶり。
何が不満なの??
ハロルド君を心配するママは、彼に恋人を作ってあげようとセッティングするんだけど、
恋人候補の前で、身体に火をつけたり、包丁で腕をちょん切ってみたりするもんだからみんな逃げていく。

そんなコメディタッチの前半から、後半はややトーンが変わって来ます。
趣味の葬儀の参列で知り合ったおばあちゃんのモードと意気投合。
このおばあちゃん、ハイウェイを暴走し、警察までも巻いてしまうかっとびのおばあちゃん。



まもなく80歳を迎えるモードおばあちゃんの行動力溢れる明るさに惹かれるハロルド君は
本当におばあちゃんに恋してしまうんですが、後半明らかになる彼の秘密にもびっくり、そしてラストは。。

死に取り憑かれた青年が、おばあちゃんと知り合って生の歓びを知るというテーマなのかな。


これ日本では、ビデオにもDVDにもなってないようで、今では幻のカルト作品とされています。
でも浅丘ルリ子さん主演でお芝居になってるようですね。

とにかく奇想天外な設定なのでこれは好みが別れるところでしょうね。
それでも主題歌の力強さもあってか、ピュアで切ない気持ちになるから不思議。

監督は『帰郷』『チャンス』のハル・アシュビー
おばあちゃんを演じたのは『ローズマリーの赤ちゃん』のうるさい隣人役で助演女優賞ルース・ゴードンでした。
ラストはおばあちゃんに教わったバンジョーをかき鳴らし、ちょっと小躍りしながら立ち去るハロルドに
清々しさを感じました。


★★★★☆