しまんちゅシネマ

映画ノート

縞模様のパジャマの少年


2008年(イギリス/アメリカ)監督/脚本:マーク・ハーマン出演:エイサ・バターフィールド/ジャック・スキャンロン/アンバー・ビーティーデヴィッド・シューリス   ヴェラ・ファーミガ/リチャード・ジョンソン/シーラ・ハンコック/ルパート・フレンド/デヴィッド・ヘイマン【ストーリー】第二次世界大戦下、8歳の少年ブルーノは、ナチス将校の父の栄転でベルリン郊外に引っ越すことになる。裏庭の森の奥、鉄条網で覆われた場所を訪れたブルーノが出会ったのは、縞模様のパジャマを着た少年シュムエルだった。
■感想
今日はイーストウッド祭りにもカンヌにも関係ないのですが、気になってた一本を鑑賞し、
ざわざわする気持ちを抑えられないので記事にします。

縞模様の‥と聞いてピンとくる方も多いかと思いますが、
アウシュビッツに収容されたユダヤ人が身につけていた囚人服ですね。
これは8歳の少年の目線でホロコーストを描いた作品です。

ナチス将校の父を持ち、奇麗なママと賢い姉と4人、裕福に暮らしていた8歳の少年ブルーノ。
ベルリン郊外の田舎の地に引っ越したブルーノは、自分の窓から見える「農場で働くひとびと」に奇妙な印象を持ちます。
なぜなら彼らは昼間なのにパジャマを着ているから。

ある日、その奇妙な「農場」に近づいてしまったブルーノは、有刺鉄線に囲われた「農場」の中にいる少年シュムエルに出会います。
友だちのいない寂しさから、家族の目を盗みシュムエルに会いにいくブルーノ。
鉄線越しに、友情を育む二人でしたが、、。


と、こんな風に書くと、ドイツ将校の息子と収容所に暮らすユダヤ人少年の友情物語のようですが
これはそんな甘っちょろいお話じゃないんですね。

ユダヤ人の悲劇ばかりがクローズアップされがちなホロコーストものですが、
ここではナチス将校の家族に起こる混乱も描かれます。



何も知らず夫を信じてきた妻(ブルーノの母)の悲哀、偏った教育により軍国主義に傾倒していく姉、
壊れていく家族を目の前にしながら、国の命令に従わなければならないことに葛藤する将校自身。。

冒険好きのブルーノに起こる「あること」を目の当たりにするラストは衝撃的です。

観終えた時には、しばらく固まってしまいました。
命の大きさは皆同じなんだと、、思わずにいられません。

登場人物がみんな生粋のイギリス英語なのが気になるところではありますが、
これはぜひ多くの方に観て欲しい一本です。ただし、好みは別れるかも^^;



監督は『ブラス!』のマーク・ハーマン
スプリング・ガーデンの少女』から5年のブランクを経てますが、どこかブラックなところのある作風は好きですね。

日本公開は8月。
これってディズニー関連なのかな?意外な気もしますが、教育的な観点なのでしょうね。



★★★★*