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映画ノート

ニュールンベルグ裁判


バスターズと一緒にKill Nazis!10本目 『ニュールンベルグ裁判

1961年(米)監督:スタンリー・クレイマー出演:スペンサー・トレイシーバート・ランカスターリチャード・ウィドマークモンゴメリー・クリフト   マクシミリアン・シェル/マレーネ・ディートリッヒジュディ・ガーランドエド・ビンズ/ウィリアム・シャトナー
■感想
いよいよ特集最終日! 
ニュルンベルグ裁判と言うのは第二次世界大戦においてドイツによって行われた戦争犯罪を裁く国際軍事裁判です。

設定はドイツの無条件降伏から二年後。
主なナチス指導者の処分は完了し、残るのは法律家などナチス政府に協力した知識人のみ。
映画は第三帝国法務大臣だった男に焦点を当て、法はナチスの愚行を止められなかったかなどを描きます。

主なキャストはアメリカから裁判長として招かれたヘイウッド裁判長にスペンサー・トレイシー
法務大臣ヤニング被告にバート・ランカスター
ドイツの国の将来を考え、被告人を無罪にしたいハンス・ロルフ弁護人にマクシミリアン・シェル
強制収容所でのユダヤ人虐殺の実態を垣間見た米軍所属の検事タッド・ロースンにリチャード・ウィドマーク

映画の面白いのは、アカデミー主演男優賞を獲得したマクシミリアン・シェルに熱弁を振るわせ
被告弁護人が裁判をリードしているように見せていること。
彼はいかに被告のヤニングが素晴らしい法律家であるかを熱弁
戦争の罪は国民やバチカンにもなかったかについても訴えるのですが
しかしそれは逆に法律家としての誇りをもつ被告の心を揺さぶる結果になるんですね。

知識人は法の改変がユダヤ人虐殺に至る危険性を予想出来なかったのか
国民は本当にユダヤ人が虐殺されている実態を知らなかったのか 

法廷の場だけでなく、裁判官の滞在する家の使用人との会話や
裁判官に個人的に接触して「知識人や国民には罪はない」と訴えるナチ軍人の未亡人(マレーネ・ディートリッヒ)との
やりとりをとおすことで、一般市民や軍人の家族の思いを垣間見せるところも映画に深みを与えます。
ただ、この裁判自体が戦争に勝った連合軍が敗戦国ドイツを裁く形であることに問題があったとされているようですね。

実際の裁判ではイギリス人が裁判長だったようだけど、映画はアメリカ人。
最初はドイツ語に通訳が入っていたのに、いつのまにか全員英語など、アメリカ臭くなっていた点は気になったところ。
判決は全員終身刑だったのに、最後に、この映画が製作される時点で裁かれた法律家の誰も
すでに刑に服していない旨のテロップが示され、裁判の理想と現実が対比されてるのは興味深いところでした。

法廷映画として面白く観ることが出来ました。


途中ユダヤ人虐殺のフィルムが上映されるシーンがあるので、苦手な方はご注意を。


★★★★☆